相続の限定承認とは? 相続した債務を負わないようにする方法
債務の相続で損しないために!相続の限定承認とは?
財産を持っている人が亡くなった場合、その人の財産は妻や子供などの相続人が相続するようになります。
しかし財産といってもプラスの財産(家や土地など)だけではなく、マイナスの財産(借金)も相続しなければなりません。
そんな時に利用されるのが「相続放棄」や「限定承認」という方法です。
相続放棄の場合、プラス、マイナス関係なくすべての財産を相続しない(放棄)しなければいけませんが、限定承認の場合は、相続を受けた人がプラスの財産の範囲でマイナスの財産を引き継ぐもので、マイナスの財産がプラスより多い場合や分かっていない借金が残っている可能性はある場合に有効といえる方法です。
ですので、相続したプラスの財産よりも多いマイナスの財産の部分は返さなくてもいいのです。
例えば、プラスの財産が800万円で、マイナスの財産が1,000万円の場合、差し引き200万円のマイナスの財産は返さなくていいということです。
全員の同意が必要!相続の限定承認はどのような流れになる?
相続の限定承認は相続人にあたる全員が共同で申請しなければいけません。
相続人のうち1人でも「反対」という人がいれば限定承認をすることはできないのです。
相続の限定承認の流れとして、
①家庭裁判所に申述を行い、「家事審判申立書」を提出します。
②共同相続の場合、家庭裁判所は職権で相続人の中から相続財産管理人を選任します。
③相続財産管理人は債権者や受遺者のすべてに対し、5日以内に公告します。限定承認したことと一定の期間内に請求すべき事を公告します。公告期間は2ヶ月以上必要です。
④債務の多いときには、債権者に比例した割合で債務を弁済して、財産が残った場合は遺産分割協議を行います。
※債務支払いのために相続財産を売却して現金化する場合、原則として競売にする必要があり、不動産を競売にするときは鑑定人を選任します。
⑤財産が残った場合は分割協議に基づき、名義変更を行います。
※限定承認を行うと税法上は被相続人から相続人に対する譲渡とみなされ、準確定申告が必要になるので注意してください。
相続の限定承認は申述を行ってから競売手続き、債務の弁済、残余財産の分割、準確定申告、不動産の登記手続きとたくさんしなければいけないことがあり、長い時間と費用がかかってしまいます。
相続の限定承認は債務がある場合、有効的に使える!明らかにマイナスの時は相続放棄という手段も!
相続の限定承認をすると、住んでいる家を確保できたり、負債(借金、債務)の金額が不明な場合にはとても便利な方法といえます。
相続を放棄してしまうと財産が負債を大きく上回っていた場合には損をしてしまうことになるので、このような場合には限定承認をオススメします。
しかし限定承認には注意点があり、相続者から被相続者に資産を譲渡したものとされ、「譲渡所得税」がかかる場合があります。例えば5000万円の土地を所得し、地価が上がり8000万円で譲渡されると3000万円の所得が生じ、これに税金がかかってしまうのです。