増え続ける親の死を隠した年金の不正受給の闇
親の死亡を隠して年金を不正受給する人が多い理由
2015年5月、約50年、死亡した両親の年金を受け取っていた女性が詐欺で逮捕された事件があり、大きな話題になったことは記憶に新しいですよね。
親が死亡したことを隠して年金を不正受給するという事件は、年々増えているように感じます。
不正受給が問題視されるようになったのは、2010年の「消えた高齢者問題」が起こったことがきっかけです。
100歳以上で死亡届が出ていない高齢者が、全国各地で行方不明になっている実態が明らかになったからです。
その問題を追及したことで、家族が年金を不正受給していたことが明らかになったのです。
この背景には、リストラや低所得など、生活苦を抱えている人が多いことがあげられます。
また近年は、中高年ニートやフリーターが増えていることも、その要因の一つと考えられます。
親の死亡届を出していても、年金機構に届け出ずに不正受給する人もいる
年金の不正受給と聞くと、親が亡くなっても死亡届を出さずに年金を受け取っているとイメージする人も少なくないようですが、一概にそうとは言えません。
死亡届を提出していても、年金事務所や年金機構にその届け出をしなければ、年金の支払いは続くのです。
年金の現況届には、住民票コードを記入する欄を設けているのですが、これは任意項目で、義務化されていません。
住民票コードを記入すれば、本人がきちんと現況届を提出しているのか、実は死亡しているのかをきちんと確認することができます。
年金受給者が高齢であることを理由に、住民票コードを確認する負担を軽減することが優先されてきた結果、不正受給が後を絶たない状況が生まれているのであれば、この点も含めた年金制度の運用を改善する余地があるといえます。
マイナンバー制度導入により、不正受給が解消されることを期待
年金の不正受給を根絶する方法として期待されているのが、マイナンバー制度です。
マイナンバー制度をどう有することで、年金や税金など関係機関でバラバラに登録・管理されていた情報が一元化することで、現況届便りだった年金受給者の情報が、公正に可視化できるようになるのです。
国の社会保障を支えるために、就労し、納税している人が将来年金をもらえるかどうかわからない状況にあるのに、生活苦を理由に年金の不正受給を行っている人を許すことはできません。
今後、マイナンバー制度の導入が功を奏して、不正受給が解消されることを期待したいものです。