法人は「有限責任」、個人事業主は「無限責任」。それぞれの違いとは?
法人の「有限責任」の意味を理解しておこう!
会社員を辞めて独立起業をすると決めた際、法人として立ち上げるか、個人事業で開業するのかを悩む人も多いことでしょう。
会社を設立すると、会社代表である自分とは違う、法人格を有することになります。
そして個人事業主か法人かで、債権者に対する責任が異なります。個人事業主は「無限責任」を負い、法人の場合は「有限責任」であるケースもあります。
法人の「有限責任」とは、会社が倒産した際に債権者に対し、出資額を限度とした責任を負うことをいいます。会社設立にあたって出資した金額は戻りませんが、それ以上の責任を負わずに済むということです。
ただし、中小企業のオーナー社長が金融機関から融資を受ける時には、社長個人の保証を求められることが多いため、事実上は「無限責任」を負っているケースがほとんどです。
「無限責任」とは何か。なぜ個人事業主は無限責任を負うことになるのか
一方の「無限責任」とは、会社が倒産した際に債権者の対し、負債総額全額を支払う責任を負うことをいいます。会社の資産を処分して債権整理ができなかった場合、個人の財産を持ち出しても弁済する義務を負います。
「無限責任」が適用される会社形態は、合名会社と合資会社の二つだけです。そして、個人事業主と民放組合も「無限責任」を負います。
なぜ、個人事業主が「無限責任」になるかというと、事業主に事業が依存しているからです。事業を通して発生した債務に対する責任から逃れることはできないのです。
会社設立と個人事業、どちらを選択したほうが有利?しっかりと考慮して選択しよう!
会社設立と個人事業のどちらを選択するかは、あなた自身がどのくらいの事業規模で仕事をしたいと考えているかによります。
会社設立のメリットには、個人より社会的信用を得やすいこと、代表者が個人保証しなければ有限責任で済むこと、事業者が亡くなっても解散や決算を行わない限り会社は永続すること、法人税を支払うので税制措置が得やすいことがあげられます。
一方で、会社設立までに時間と費用がかかること、事業内容が定款に記載されるものに限定されること、意思決定を行う際には株主総会や取締役会の決議が必要なことはデメリットです。
個人事業主のメリットには、時間と費用をかけずに独立開業はできる、どんな事業でも行える、自分一人の意思決定で仕事ができることが挙げられます。
一方で、法人より不利な扱いを受けることがある、無限責任を負う、事業は事業主が亡くなった時点で終了する、所得税を支払うことになるので割高になるなどのデメリットがあります。
その点を考慮して、決断しましょう。