日本の銀行業界が再編された『金融ビッグバン』ってどんなこと?
半沢直樹のドラマの時代背景にある金融ビッグバンって何?
2013年の夏、ドラマ「半沢直樹」を夢中になって観ていたサラリーマンも多いのではないでしょうか。
このドラマは、金融ビックバンを背景に描かれていました。
金融ビックバンとはそもそも、1986年にイギリスで行われた、金融自由化政策のことをいいます。
この金融改革によって、ロンドンが国際金融センターとしての地位を確立し、長年不況にあえいでいたイギリスの経済を復活に導きました。
日本ではこの事例をお手本に、1996年から2001年位かけて、「Free(市場原理が機能する自由な市場に)」「Fair(透明で信頼できる市場に)」「Global (国際的で時代を先取りする市場に)」をスローガンに、金融改革を実施。これを、日本版金融ビックバンといいます。
金融ビッグバンで銀行が受けた影響と業界再編
それまでの日本の金融行政は、大蔵省や日本銀行が「護送船団方式」と呼ばれる、金融業界に対する安定化や産業保護政策を行うことで、金融機関の破たんを防ぎ、預金者に不安を与えないように配慮するなどの行政指導も実施。
日本政府と日銀、銀行、企業が連携しながら、うまく統合できていました。
そのため、金融市場では規制が多く、外資が入ってきにくい状態が続いていたのです。
ですが、外為法改正により一般企業や個人が外貨の取り引きを自由に行えるようになった、銀行・証券・保険といった金融機関の業界の垣根を取り払えるようになり事業参入が続いた、銀行融資を受けるのではなく、株式や社債による資金調達が盛んになった、個人も資産運用を預金に頼らず、投資信託や株を利用して行うようになるといった変化が起こりました。
こうした金融の自由化で国内外の競争に飲み込まれた銀行は、生き残りをかけて、業界の再編を加速していったのです。
金融ビッグバンは失敗したのか?消費者に与えた影響と今後の課題
この金融ビックバンをきっかけに、外資企業の参入や銀行や企業がそれぞれの利益を優先することになり、護送船団方式が崩壊。
それから、1997年に北海道拓殖銀行の経営破たんに始まり、1998年には日本長期信用銀行(現新生銀行)、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)が経営に行き詰まるなどの問題も発生しています。
一方、消費者の視点で見てみると、金融自由化によって、金利や各種手数料に差が生まれるようになり、競争原理が働いて、魅力的な金融商品が開発されるというメリットもありました。
消費者の選択肢が増えるのは良いことですが、元本保証のない金融商品も増えており、資金運用に自己責任が求められるなどのデメリットも生まれています。
現在でも、消費者の金融資産の過半数は、現金や預貯金で占められています。
日本を国際金融センターとして位置づけるためには、この預貯金を投資に転換していくことが急務です。
金融ビックバンの今後の課題は、消費者の投資を促すための利用者保護施策の整備や、学生から高齢者まで幅広い層を対象とした金融経済教育を推進し、消費者の知識や対応力をあげていくことといえるでしょう。
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