収入証明不要なカードローン
消費者金融や銀行からお金を借りる際に必要になる収入証明書。
これは1社から50万円以上の貸付を求める場合、複数社で100万円を超える場合などに、返済能力を確認するために消費者金融に対して2010年の総量規制の施行と同時に定められた制度です。
総量規制の対象外で収入証明書の提出が義務付けられていない銀行カードローンでも、ある一定の金額からは提出が必要になったり、消費者金融ではキャッシングを申し込む時点で必ず必要になる業者もあります。
※銀行カードローンでも最近は収入証明書の提出を50万円以上で義務付ける動きになってきました。
そうなった背景はこちらに詳しく記載しました。
⇒銀行カードローンの収入証明不要の限度額競争とその終焉
収入証明書とは次のものを指します。
・給与明細書(発行先:勤務先)
・確定申告書(発行先:税務署)
・源泉徴収票(発行先:勤務先)
・所得証明書(発行先:対象年の1月1日に居住していた市区町村)
そうは言っても・・・
・そもそも自分の収入なんて見せたくないし!
・個人事業主などの方は、税務署や役所に発行手続きに行くのも面倒!
・専業主婦の方で旦那さんの収入証明書が必要になって万が一バレたら嫌だ!
・給与明細は毎月捨てているから今出せるものがないし勤務先にお願いしたら会社にバレるんじゃない?
収入証明書なんて提出しなくていいならそれが一番という方がほとんどではないでしょうか?
ただ、消費者金融の場合は他に借り入れがなくても50万円の限度額を求める場合は収入証明書の提出が義務付けられていますし、銀行も提出が不要になる金額がバラバラなんです。
50万円を超える借入や数社の貸付額が100万円を超える場合、必ず収入証明書を提出することが貸金業法の改正により消費者金融に対して義務付けられました。
しかし、50万円まで収入証明提出不要な業者は以下で紹介している4社しかありません。
収入証明書が不要になる条件は、全て50万円以下の借り入れ、他社との合計借入金額が100万円以下です。
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銀行カードローンの収入証明不要の限度額競争とその終焉
目次 |
「収入証明書不要!」という文字が銀行カードローン広告から次々と消えている!?その現状とは?
銀行カードローンの申し込みに「収入証明書」の提出は必要ない!?
近年、銀行カードローン広告のトップページに「収入証明書不要!」という言葉が、記載されていたことをご存知の方は多いのではないでしょうか。
広告の中心や目立つ箇所に大きく書かれたその表記を見つけ「年収が低く、月々の収入が不安定だから」、また、「時間がなくて手続きが面倒だから」という理由から安心したという方は、少なくないはずです。
「収入証明書不要!」という銀行カードローンの広告から「面倒な手続きがない」また、「時間が短縮できる」といった印象の他に、「銀行なのに収入証明書が要らないの?」と思われた方や「収入に関係なく高額融資を受けることができるのかもしれない」「低所得でも借りやすいのかもしれない」といったことを連想された方もいらっしゃるでしょう。
しかも、100万円や300万円など高額融資であっても借入限度額に関係なく「収入証明書不要!」という商品も各行競って出しているのですから、そのように思われるのも無理はありません。
確かに、「銀行」というネームバリュー、そして、実績と信頼のあるカードローンを簡単に、便利に、しかも、充実したサービスで受けることができるとなれば、利用者にとっては、大変ありがたいことです。
ただ、残念なことに、最近、顧客有利かと思われてきたこの銀行カードローンの動きに大きな変化が起こり始めているのです。
既に、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、上に記したような「収入証明書不要!」という表現、これが今年に入って、次々と姿を消しているのです。
では、この現象は、どのようなことを意味しているのでしょうか?
なぜ今、「収入証明書不要!」という表現が突然、次から次へと消されていく事態になっているのでしょう。
銀行カードローンの審査がさらに厳しくなったということなのでしょうか?
そもそも、銀行カードローン審査において「収入証明書」の提出に、重要な意味はないのでしょうか。
参考記事:
「収入証明書」とは?審査における提出書類の重要性
では、「収入証明書」とは、どのような種類のものを指し、カードローン審査の上で、どのような役割を持つものなのかを確認していきたいと思います。
「収入証明書」とは、一般的に次のようなものを指します。
「源泉徴収票、支払調書、確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書、住民税決定通知書または納税証明書、所得証明書、給与の支払明細書(直近2~3カ月分を提出する場合が多い)、年金証書、年金通知書」などです。
列記してみると分かるように、この「収入証明書」は、申込者にどのくらいの収入があるのか、もしくはさらに、申告や納税等の義務をきちんと果たしているか?という金融取引を行う上で、非常に重要な事柄を知ることができる書類であることが分かります。
このように実は「収入証明書」とは、カードローンの審査をする上で大変重要な役目を持つものなのです。
なぜならば、このような「収入証明書」によって、申込者の返済能力やきちんと返済を行う人物かといった信用度を測ることができるからです。
どんなに銀行側が顧客に有利なサービスを展開していようとも、高額な融資を提供しようとも、顧客側は、カードローンでお金を借りる以上、確実に月々の返済を行い完済しなければなりません。
ですから、いくらサービスがいいからと言って、ここで自分の身の丈以上の融資を受けてしまうと、後で苦しむのは利用者自身になります。
また、銀行側も貸し付けは、慈善事業ではありませんので、金利を上乗せした融資分を回収
できなければ、事業は成り立たないということになるのです。
このように、融資側が、慎重に審査を行うことは、利用者にとっても、銀行にとっても、自分たちを守るためには大変重要なことなのです。
そうであるにもかかわらず、ハイリスクを抱えながらも審査の際の収入証明書を不要にできる背景には、銀行側のどのような仕組みがあるのでしょうか。
そもそも、「収入証明書」の提出を義務付ける法律や銀行自体の審査基準には、その重要性を配した定めはないのでしょうか。
ただ、実際のところ「収入証明書」が提出されなかったとしても、会社や職種、勤続年数等から、おおよその年収を推測することはできるのです。
カードローンの申し込みの際には、必ず、年齢や氏名の他に、会社名、勤続年数、職種などを記載しますので、それらの情報から年収を割り出すことは不可能ではありません。
しかし、これらはあくまで、おおよそであって、個人の資産やその他の金融取引の状況、そして、申込者個人の1円単位の正確な年収を割り出すことはできません。
また、銀行同様に、個人向け無担保融資を行っている業界の中には消費者金融がありますが、実は、この消費者金融にも数年前までは、「収入証明書」の提出は不要という業者が沢山ありました。
ただ、銀行と比べ個人向け無担保融資を行ってきた実績も経験も豊富で、申し込み時の申告事項である「会社名、勤続年数、職種」といった項目のみでも、膨大なデータの中から顧客の年収を割り出すことは容易だったと言えるでしょう。
しかし、そのようなノウハウに長けた貸金業者にでさえ、収入証明書の提出は義務化されたのです。
2010年6月の改正貸金業法の施行以降のことです。
これによって、借入総額は、年収の3分の1までと制限され、1社の利用限度額が50万円を超える場合、または複数の貸金業者からの借入総額が100万円を超える場合には、収入証明書を提出することになりました。
そして、改正貸金業法施行によって、貸金業者が貸し出しの際に「収入証明書」を申込者への条件として課すことが義務化された背景には、社会問題として広く世間を騒がせることになった多重債務者による自殺率の増加などの社会問題がありました。
ただ、この法の施行に際して、貸金業者からは、「日本の貸金市場の崩壊危機」になると強い反発があったことは言うまでもありません。
なぜならば、この法の施行によって、貸金業者は、大きな収益を失い、その存続さえも危ぶまれる状態になることは、目に見えていたからです。
現に、この法の完全施行から数か月後、大手貸金業者が破綻、その他の貸金業者も経営存続が難しく次々と姿を消していきました。
これらの事態によって、貸金業者の経営者はもちろん、多くの社員の生活にさえ影響は及びました。
それにもかかわらず、改正貸金業法の施行が強行されたのは、それだけ利用者における借金問題が深刻な事態に発展してしまっていたからと言えるでしょう。
そして、このことによって、貸金業法完全施行以降、ノンバンク業態における個人向け融資を行ってきた消費者金融やクレジットカード会社の広告には、次々と「年収証明書類ご提出のお願い」が掲げられ、収入証明書類を提出しない場合には「新規キャッシングご利用は停止させていただきます」などと明記されるようになったのです。
また、同時に総量規制によって利用できる限度額についても、法規制等の詳しい説明と共に、現在の利用可能枠が他社の借入れ残高も含めて「年収の3分の1を超える場合は、ご利用可能枠を減枠」すること、あるいは、「申し込みをお断りさせていただきます」と各業者、全ての企業広告に掲載される徹底ぶりとなりました。
その水も漏らさぬ態勢からは、改正貸金業法が、いかに厳重で徹底されてきたかということが窺えます。
利用者にとって嬉しいサービスが続々と登場した銀行カードローン
このように金融取引において重要な役割を持つ「収入証明書」ではありますが、利用者側へその視点を移してみると、前述したように、「収入証明書不要!」は、やはり大変便利で利用しやすい条件と言えるのではないでしょうか。
なぜならば、収入証明書の種類によっては、その取得のために、定められた営業時間内に各市町村窓口へ出向かなければならないものなど、手間がかかるものも多いからです。
最近では、役所に出向かなくともマイナンバーカードを利用し、コンビニエンスストアに設置された証書発行機から書類を受け取る方法もありますが、それでもやはり、取得可能な場所まで足を運ぶということに変わりはありません。
また、郵送によって請求することができる書類も中にはありますが、その場合、まず証明願を各市町村HPからダウンロード、あるいは、同様の形式で記述し、本人確認書類のコピーを準備、証明書発行の手数料は郵便局で定額小為替にして郵送するなど、その時間と手間は大変なものです。
ですから、銀行カードローン広告が示していた「収入証明書不要!」は、前述したような収入証明書の提出を躊躇してしまうような状況にある利用者ばかりでなく、とにかくスピード重視で利用したいという顧客にとっても大変魅力的なサービスであったことに違いありません。
さらに、近年の銀行カードローンは、この「収入証明書不要!」ばかりでなく、利用者を惹き付けるさまざまなサービスを展開してきました。
そのサービス内容は、ほんの数年で拡充され、利用者にとっても大変有利な条件でのカードローン商品がラインナップされてきたのです。
特に2010年以降の銀行カードローンは、各銀行が、競い合うように金利を下げ、利用限度額も同様に800万円、1000万円、1200万円と引き上げられていったのです。
また、消費者金融の独占的な営業分野であった「即日融資」などのサービスも強化され、利用者にとって大変良い条件が、豊富にそろうようになりました。
教育ローンやマイカーローンなど既存の人気ローン商品に加え、主婦向けや女性向け、ブライダルや不妊治療、美容整形等の美に特化したものなど、細かな顧客の要求に応え得るカードローン商品なども展開されるようになり、銀行カードローンの充実と飛躍を見せつける一方で、新規顧客獲得にあまりにも躍起になっているという印象もありました。
銀行は、硬質で、誠実な印象を売りにしてきたその体質からは考えられないような、商品設定やシステムの更改によって、もともと個人融資を得意とし、それによって収益を伸ばしてきた消費者金融並みのサービスを短期間に続々と登場させてきたのです。
そして、このように、銀行カードローンの顧客有利のサービスと各行の商品競争は、過熱していったのです。
しかし、手放しでそのサービスを喜び、利用に踏み切った多くの顧客がいる一方で、「銀行カードローンの審査は厳しかったはずでは?」「本当にそんなに簡単な申し込みで大丈夫なの?」「そんな大金を返済しきれるかしら?」と心配された方もいらっしゃるかもしれません。
それもそのはずで、一般的に借金を負担なく返済できる金額は、年収の20%から25%以下と言われています。
例えば、月々の手取りが、25万円で20%なら5万円、25%であれば6万2500円です。
それが、手取り8万円であれば、20%で1万6000円、25%で2万円という金額になってしまうのです。
そのようなことは、ないと信じたいところですが、月々手取り8万円の銀行カードローン利用者が、300万円の融資を受けることが可能だったとしたらどうでしょう。
これを10年で完済するとすると、単純に元金だけで計算しても月々2万5000円の返済が必要であるにかかわらず、月々の返済額も返済期間も足りないという計算になります。
さらに、そもそも上記の試算は、あくまで「元金」のみのものです。
いくら低金利競争で金利が低くなるとは言え、返済期間が長期化すればするほど、その負担が大きくなるというカードローンの仕組みに加え、返済額も返済期間も足りなくなるような利用の仕方が、利用者の人生に支障をきたさないと言い切れるでしょうか。
ですから、顧客側の安易な借り入れは言うまでもなく、顧客の安全な利用を旨とする銀行側の利用限度額の設定には、多重債務者の問題だけをとってみても大変注意が必要なポイントであることはお分かりいただけると思います。
また、利用限度額は、最終的に、利用者の属性や年収などから融資を行う銀行側が取り決めるものですが、審査に収入証明書の提出の必要なしと記載されている銀行による限度額の取り決めがどのようになっているのか、利用者の返済能力を考慮した融資が行われているのか等その内情を個人的に把握することは大変難しいものです。
その上、各行の限度額引き上げ競争が過熱する中で、利用者側が不用意に高額な希望限度額を提示し審査に通ってしまったら?
仮に利用者が、限度額いっぱい利用してしまったら、どうでしょう。
銀行が提示する好条件に踊らされた挙句に、利用者が自分の首を絞めることにはならないでしょうか。
近年の銀行カードローンにおけるサービス内容を見ていくと、利便性に優れ、内容も充実してきたといった印象を持つ利用者も多いでしょう。
しかし、通常のカードローンであるにもかかわらず、収入証明書なしの限度額引き上げ競争によって、1000万台を突破していく銀行も出てくる中で、例えば、限度額1200万円もの高額融資を利用者は、何年で返済するのでしょうか。
さらに、銀行カードローンが利用しやすくなった分、これまでカードローン利用の必要がなかった人たちまでが安易にお小遣い感覚で融資を受けることはないでしょうか。
このような状態で、銀行は、本当に利用者の立場に立ったカードローン商品を生み出してきたと言えるのでしょうか。
以下では、前述のように多くのサービスを展開し、好調に見えた銀行カードローンの広告から、どうして次々と「収入証明書不要!」という言葉が消えているのか、そして、これまでなぜ、「収入証明書不要!」という広告を出すことが許されてきたのか、その理由について考察していきます。
また、さらに、収入証明書不要の限度額競争や低金利競争が激化していった背景、現在、銀行カードローンが置かれている状況と今後、利用者が注意すべき点などについて詳しく見ていきたいと思います。
銀行の少額個人融資参入はいつから? 収入証明不要の限度額競争への道すじ
「銀行カードローン」はどのようにして始まったのか?
「カードローン」は銀行が始めた?~キャッシングとカードローンの違いとは?~
限度額の引き上げや金利の引き下げなど各行が競い合うように展開してきた顧客獲得合戦ですが、実際に、争奪戦が過熱し始めたのは、ここ数年のことです。
そして、銀行が個人向けの少額融資に本格的に参入し始めたのも同様に、実は、その歴史は意外にも短いのです。
このように実際には、歴史の浅い「カードローン」。
実は、この「カードローン」という言葉自体も、使われ始めたのは数年前のことなのです。
「カードローン」という言葉が使われるようになったのは、銀行が個人向けの融資サービスに本格的に参入し始めた2010年頃のことです。
それまでも、消費者金融などによる個人向け融資サービスがあったことから、「カードローンは存在していたはずだから、歴史が浅いというのは間違いなのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、もともと、個人向け融資サービスを中心に営業を行ってきたのは、消費者金融で、そこでは、個人向け融資サービスのことを「キャッシング」と呼んできました。
同じような商品内容やサービスが提供されてきたことから「カードローン」という言葉も、もともとあったのではないかと思われがちですが、実際には、「キャッシング」という言葉の方が先に登場し、世間に認知されてきました。
それならば、銀行も「キャッシング」という言葉を利用すればよかったのではないかと思われそうですが、銀行は、消費者金融の「キャッシング」という言葉とそれらが含有するイメージとの差別化を図るために、同じような仕組みを持つ個人向け融資サービスであるにもかかわらず、それを「カードローン」という呼び名にしたのです。
では、銀行が「キャッシング」という言葉から払拭したかったものとはどのようなものだったのでしょう。
今でも「キャッシング」と聞くと「借金」を連想する方は、多いのではないでしょうか。
銀行が個人向け融資サービスに本格的に参入する前、消費者金融は、この「キャッシング」の過剰貸し付けや多重債務者問題などが、社会問題として大きく取り上げられ世間にキャッシング=借金=債務者問題として悪いイメージが広く定着していました。
さらに、2010年以前の貸金市場では、ヤミ金が横行し、身体的にも精神的にも暴力的な取り立てや嫌がらせ等によって、借金を苦にした自殺者が急増し社会問題として取り上げられていたことも「キャッシング」の印象に深い傷を残しました。
ですから、銀行側には、新規事業参入に当たってそのイメージを一掃したいという思惑があったことは間違いありません。
そのような経緯があって、銀行は、「キャッシング」とは別物であるということを明確に打ち出すために「カードローン」という言葉を利用するようになったのです。
ただ、現在では、消費者金融のキャッシングと銀行カードローンのどちらをも「カードローン」と呼ぶ方が増えてきています。
また、消費者金融側でも、「キャッシング」ではなく「カードローン」という呼び名を利用する企業も増えてきました。
こちらにもまた、逆の意味でこれまでに定着してしまったイメージを払拭するため、さらには、銀行カードローンの信頼性や硬質なイメージにあやかろうという消費者金融側の思惑がありそうですが、いずれにしても、現段階では、無担保個人融資のサービスは、「キャッシング」から「カードローン」という呼び方へシフトしている感があります。
「銀行カードローン」のはじまりとは?
では、銀行は、なぜ個人向け無担保融資事業に本格的に参入し始めたのでしょうか?
もともと、企業や事業者を中心に大口融資を得意としてきた銀行は、個人の顧客に対する小口融資は、行ってきませんでした。
素人目にもわかるように、何千万、何億という企業への高額融資と個人向けの数十万円単位の少額融資では、その収入の差は、大変なものです。
融資先一件にかける労力と収益から純利益を計算すれば、手間がかかり大きな収益を見込むことができない個人向け融資サービスに銀行が目を向けてこなかった理由が分かるでしょう。
とは言え、そのような銀行も1960年代には、百貨店と提携した「お買い物貯金」、自動車会社と提携し、貯金と割賦を組み合わせたローン提携販売といった商品を、1970年代には、貯金通帳とカードローンを結び付けた個人向けのサービスをと、現在のカードローンとは形態は違うものの、手を変え品を変え、個人に向けた金融サービスを行ってはいました。
そして、1980年代には、消費者金融のローン残高に目を付け、現在のような形式での個人向けの融資事業に取り組んでいます。
しかし、結局のところ、個人の信用を審査するにあたっての手間とコストの問題、そして、消費の志向や所得水準、資産や返済能力が異なる不特定多数の利用者の信用情報の収集と管理、リスクマネジメントなど、あらゆる面において、消費者金融のようなノウハウがなかったことが原因で、思うような収益を得ることができず本格的な事業参入は見送られたというところが実際のところのようです。
ところが、その銀行が、2010年を境に個人向けの融資サービスに大きく乗り出すことになるのです。
個人向け無担保融資サービスに本格的に取り組み始め、大きく飛躍し、成功を収めるようになったのには、大きく2つの経緯があります。
1つ目は、日本における経済市場と社会的な背景。
2つ目は、改正貸金業法の完全施行です。
1990年代バブル経済崩壊以降の日本経済市場は、戦後最大の危機的状況にありました。
バブル経済が崩壊し、地価は下降、株価は低迷、大企業も次々と破綻していきました。
そうしたことを背景に、大企業に大口の融資をしてきた銀行も、莫大な不良債権を抱え、1999年代後半には、大手金融機関が相次いで破綻する事態に追い込まれていきます。
同時期には、個人向け住宅ローンの住宅金融専門会社7社のうち6社が破綻。
大手証券会社、保険会社と日本の大手企業と呼ばれる企業はもとより、メインバンクが破綻した後、融資を受けることができなくなった企業も次々と姿を消していったのです。
さらに、相次ぐ企業の破綻や経営悪化に、数百、数千という大規模なリストラが実施され、個人の生活にも不況の波が大きく影響していきました。
そのような中で、危うく破綻を免れた銀行も、アジア通貨危機、景気縮小、リーマン・ショック、金融ビッグバン、さらにはマイナス金利の導入など国内外の長引く金融市場の苦境にあい、存続をかけて経営方針や体質改善に注力してきたのです。
このように深刻な局面にあった銀行が、経営悪化に歯止めをかけるべく、藁をもすがる思いで注力事業のひとつとして始めたのが、個人向けの融資サービスだったのです。
しかし、1980年代に事業参入し、結局失敗に終わった「銀行カードローン」が、経済苦境の時期に好調な滑り出しを見せることができたのは、どうしてなのでしょうか。
実は、その引き金となったのは、2010年の「改正貸金業法」の完全施行です。
日本経済の長引く不況と必要に迫られた銀行改革、そして、貸金業者への規制強化が同時期に重なったことが、銀行にとっては逆に、好機となり、諍い果てての契りとなったのです。
ご存知の通り、貸金業法改正は、重大な社会問題にまで発展してしまった貸金業者を取り巻く問題を終息させ、体質を見直し、改善させるべく、国会、法曹界、有識者や専門家によって議論され、安全な貸金市場を目指して行われたものです。
2003年「生活・生活問題を理由」とした自殺者は、8897人とかつてない人数に上り、同年の自己破産件数は、24万人、さらに、多重債務者数は、約230万人と、ヤミ金と呼ばれる金融業者の暴力的な取り立てや多重債務問題、それによる自殺者の増加は社会における深刻な問題として早急な対策が必要な切迫した状況にありました。
同時に、そのような経緯から、対策強化が行われ、改正施行された貸金業法は、貸金業者
にとっては、大変負担の重い法となりました。
中でも、貸金業者の経営に大きな打撃を与えたのは、年収の3分の1以上の貸し付けを禁じる総量規制と金利の引き下げによる適正化、グレーゾーン金利撤廃による過払い金請求だったと言えるでしょう。
この導入によって、貸金業者は、収益の多かった一部の顧客層を失い、グレーゾーン金利分の過払い金請求を受けることになるのです。
その結果、法改正後の2015年には、貸金業者の貸付残高は、一気に縮小、一方で、銀行の貸し付け残高は、完全施行前の2009年から1.5倍に跳ね上がっていくのです。
この背景には、銀行の新規顧客獲得と貸金業者の規制によって借り入れが難しくなった顧客層の流入がありました。
さらに、1980年代に個人融資サービス参入を試み、一度撤退したにもかかわらず、2010年以降には、成功を収めたことにも改正貸金業法の施行は、深く関わっています。
それは、改正貸金業法施行によって、収益を落とした貸金業者が、個人融資サービスだけではなく、保証事業展開に力を入れていったからなのです。
銀行は、その分野を得意とする消費者金融と提携、あるいは傘下に入れることで、以前の事業参入時の敗因となった個人信用情報の収集や管理などのノウハウを利用できることとなり、消費者金融の力を借りて、不得意分野を補い成功することができたという訳です。
このように銀行は、信用情報の収集や独自のノウハウを持った消費者金融に救われ、一方の消費者金融は、改正貸金業法施行以降、収益が悪化していたところを保証事業による銀行との提携等によって窮地を救われた格好となったわけです。
しかし、銀行には、消費者金融に融資の核となる審査を一任しているのではないかという指摘が入り、一方の消費者金融には、銀行のブランド力を利用して過剰な販売促進しようとしているのではといった声が聞こえるようになってくることで、後に銀行は、足元を掬われることになるのです。
ただ、そのような声が大きな広がりを見せるまでの数年間、銀行が提供するカードローンは、その高い信用性とさまざまなサービスを武器に躍進を続けてきたのです。
法律は、規定を設けていなかった!?収入証明不要の限度額、低金利競争のはじまり
法律は、銀行カードローンへの収入証明書に関する規定を設けていない!?
上記のように、2010年のカードローンへの本格的な参入から、銀行は個人融資事業の収益を飛躍的に伸ばしてきました。
そして、銀行カードローンの躍進を後押ししたのは、銀行自体のブランド力と高い信用性、さらに、低迷する経営状況を消費者金融の経営悪化という思わぬ展開から好転させることになったのも改正貸金業法の完全施行がきっかけでした。
また、先にも取り上げたように、顧客のニーズに沿った商品、即日融資や限度額の引き上げ、低金利での商品提供、そして「収入証明書不要!」といった細かな点にまで気を配ったサービスによって、この頃銀行は、収益上昇のスピードをさらに加速させたと言っていいでしょう。
消費者金融の業績が下降していく中で、銀行が業績を上げることができた背景には、このように消費者金融並みの商品サービスを次々と取り入れたことも大きく影響していますが、消費者金融に規制が入ったにもかかわらず、同様の個人融資サービスを行う銀行には規制がかからなかったのということも大きな要因でした。
では、なぜ、銀行カードローンには、消費者金融のような規制がかからなかったのでしょうか?
また、そもそもなぜ、銀行は、収入証明不要!で融資ができるような広告を打つことができたのでしょう?
そこには、遵守すべき法の違いがあるのです。
貸金業者が遵守すべき法として「貸金業法」があるように、銀行には、「銀行法」という法律があり、適切な運営を行うためにこれらに従わなければなりません。
2010年の改正貸金業法の導入によって、貸金業者にさまざまな規制が入り、銀行が、それを横目に躍進してきたのには、そのような理由があるからなのです。
また、銀行が「収入証明書不要!」の広告を打つことができたのも、それらと同様の理由からだったと言えるでしょう。
改正貸金業法完全施行後の消費者金融の広告には、各社、注意事項として、目立つ場所に、総量規制に関する借入総額についての注意点と、一定額を超える場合に「収入証明書」を提出する義務があることが記載されました。
その一方で、銀行は、広告の目立つ場所に「収入証明書不要!」という文字を掲げてきたのです。
そもそも、銀行法には、収入証明書の確認や提出義務についての規定はないのです。
ですから、誇大広告になるかどうかという問題は別として、収入証明書を提出する必要は法の上では定められていないため、そのような表記をしてきたということなのでしょう。
ただ、「収入証明書不要!」とあっても、貸し付け条件の注意事項に100万円を超える場合、あるいは、300万円を超える場合は、収入証明書の提出が必要になりますと書き添えてある商品もありました。
法的に収入証明書の提出が義務付けられていない銀行カードローンでは、提出が必要になる場合などについての決まりは、銀行の裁量、あるいは、各行それぞれのルールによって定められているため、銀行によって提出が必要になる金額が違うということがあったのです。
このように、銀行法には、収入証明書の提出義務も提出が必要となる場合の具体的な借入金額にも決まりはないため、銀行という品格にふさわしい運営を行うことを前提に各行それぞれに委ねられているという格好となっていました。
そこには、銀行という格式ある機関が、品位を失い箍が外れたおかしな広告を出すことや適切な運営の限度を超えた行いはしないだろうという管理側の一種の甘さも存在してきたのかもしれません。
収入証明不要の限度額競争、低金利競争はいつ始まったのか?
そして上記のように、消費者金融のような規制がないことも加担して、銀行のカードローンのサービス合戦は、年々激化していきました。
2008年のゼロ金利導入以降、2016年には、マイナス金利政策が導入されたにも関わらず、カードローン金利は、あちらが3%なら、うちは、2.8%、そちらが2.8%ならこちらは2.4%と競い合うように低金利競争が進み、さらに、限度額もA行は500万円から800万円へ、B行は、800万円から1000万円へと増々高くなっていったのです。
では、この収入証明不要の限度額競争、低金利競争はいつごろから始まったのでしょうか。
また、限度額、低金利競争が激化したのはなぜなのでしょうか?
低金利競争の戦端を開いたのは、2014年後半のネット銀行最大手、住信SBIネット銀行によるものだったと言われています。
住信SBIネット銀行は、同行の住宅ローンを利用する顧客など一定の条件を満たす利用者に対して、通常の年3.5%から年1.99%へと最低金利を引き下げたのです。
このサービスは、現在も引き続き行われ、例えば、SBIカード保有で引落口座を設定すると元々の金利から年0.1%の引下げ、SBI証券口座を保有し登録済、または、同行の住宅ローンを利用していると年0.5%の引下げ、さらに、前後者共に条件を満たしていれば、年0.6%の引下げという具合に、条件によって金利が引き下げられるようになっています。
また、現時点で全ての条件が適用された場合の最低金利は、0.99%と3年前からさらに金利も下がっていることからも、短期間で金利が大きく動いたことが分かります。
住信SBIネット銀行の金利引き下げに遅れること数か月、翌年2015年に入ると、横浜銀行が年3.5%から年1.9%に、引き下げたのです。
7月には、大手行が取り組みを始める前にと個人分野を注力事業として狙うソニー銀行が参入、みずほ銀行は、利用残高が100万円以上で高島屋のカタログギフトをもらうことができる商品や季節に応じて、抽選で賞品がプレゼントされる女性向けの商品を展開するなど、各行が、利用残高やキャンペーン、同行の他の商品サービスと連携させる仕組みなど顧客を惹き付ける戦略をとりながら金利を競い合い、低金利競争が激化していったのです。
ちなみに、現段階での最低金利と限度額は、住信SBIネット銀行が0.99%、1,200万円、横浜銀行が年1.5%、10~1,000万円(10万円単位)、 ソニー銀行2.5%、800万円となっています。
これらを比較してみると、ほんの2-3年の間に各行共に、金利を下げ、限度額を高く設定していることが分かるでしょう。
さらに、このように競争激化の先陣を切った銀行名を見ていくと、初期の段階で低金利競争を牽引してきたのは、ネット専業銀行であることが分かります。
また、ネット銀行のカードローンが、大手行に比べ、比較的早い段階から低金利競争を始めたのには、理由があります。
2000年以降に、異業種などから参入してきたネット専業銀行には、新規参入ということもあって、それぞれに勢いがありました。
そこへきて、大手行や地方銀行は、ネット専業銀行に比べ、個人ローンへの取り組みが遅れたことが重なったのです。
また、店舗を持たずフットワークの軽いネット銀行は、手続きがネット上で簡単に完結できる上に収入証明書不要ということも多く、個人の利用者にとって借りやすいシステムと環境が整えられていたのです。
その後、銀行のカードローン残高は、4割増し、5割増しと年々数字を引き上げていきましたが、それらの牽引役となったのは、上記のネット専業銀行だったと言えるでしょう。
さらに、このネット専業銀行の相次ぐ金利引き下げと限度額引き上げから2015年を境に、それまで個人融資への取り組みが遅れていた大手行や地方銀行も次々とその競争に参入してくることになるのです。
ネット専業銀行の特権であったネットでの申し込みやそれらを有効活用した即日融資、また、借入限度額の上限は800万、1200万と次々と引き上げられ、200万円、300万円以下の貸し出しについては収入証明書の提出を不要とするなど利用者にとって利便性の高い商品の形態が続々と登場したのもこの時期からです。
ただ、このような競争の過熱で心配されるのは、利用者の返済能力を度外視した過剰融資や借りすぎによる多重債務の問題です。
総量規制対象外の銀行カードローンによって借入限度額の上限を高く設定する銀行が増え、さらに低金利競争の激化や銀行が提示する条件が利用者にとって簡単にクリアできるものになればなるほど、多重債務や自己破産への懸念は高まり、この後、銀行カードローンは各所から注意喚起を受けることになるのです。
消えた「収入証明書不要!」の文字!銀行カードローンが問題視された理由とは?
今年に入って「収入証明書不要!」の文字が銀行カードローンの広告から次々と消えている理由も、上記のような競争激化の流れの中で銀行カードローンのあり方が問題視されたからなのです。
銀行の過剰貸し付けを危惧する日本弁護士連合会による意見書とは?
上記のような、銀行カードローンの状況に、改正貸金業法施行以前の多重債務問題、借金苦を理由とした自殺など貸金業を取り巻く社会問題再燃を危惧した日本弁護士連合会(以下、「日弁連」)は、内閣総理大臣、金融庁、全国銀行協会会長等へ意見書を提出したのです。
それが、2016年9月16日付けで作成、翌10月12日に提出された「銀行等による過剰貸付の防止を求める意見書」です。
以下に、その内容について見ていきますが、まず、日弁連が、日本における国家機関とどのような関係にあり、日弁連からの意見書提出には、どのような意味があるのかについて簡単に触れておきたいと思います。
まず、日弁連とは、弁護士が必ず加入しなければならない組織ですが、特記すべきは、国の監督を受けない機関であるということでしょう。
日弁連は独自の自治権を持っているため、ありがちな大人の事情や保身に走ることなく、問題だけを直視してそれらに対する意見を押し述べることができる機関だと言えます。
そもそも、国家権力に屈する機関ばかりでは、健全な司法などありえないでしょうし、民主主義に反することになりますので、そのような点からも、日弁連の意見は無視することができないと言う事情が、国家機関と日弁連の関係にはあるのです。
では実際に、2016年10月12日に日弁連が金融庁等に意見書「銀行等による過剰貸付の防止を求める意見書」を提出した、その趣旨はどのようなものだったのでしょうか。
その日弁連が提出した意見書の趣旨は、以下のようなものでした。
まず、貸金業者に対する改正貸金業法の総量規制を踏まえ、特に、審査の際に消費者金融の保証を受ける仕組みを有する銀行は、消費者金融と同様に、総量規制を遵守する対象として、利用者に、年収の3分の1を超える貸付をしてはならないことを「主要行向けの総合的な監督指針」、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」に明記するよう要請。
次に、審査の際、消費者金融にその審査業務の一部を委託、あるいは、消費者金融の保証を受けることを利用者に条件として提示している場合、上記のように借入残高が年収の3分の1を超えないようにし、利用者側にとって過剰借入とならないよう、利用者の借入に関する実態を把握すること。
そして、返済能力に見合わない貸付が無いよう万全な審査体制を作り上げることを要請。
最後に、銀行カードローンであっても、保証会社として消費者金融の保証を利用者が受ける場合の借入れには、総量規制を適用させ、さらに、貸金業法で定めるような措置をとるためにも、銀行への適用を要請。
言い換えれば「過剰貸付の禁止」「審査体制の見直しと強化」「総量規制の適用」について改善すべきとの意見です。
日弁連の意見書提出の理由とは?銀行カードローンへの警告!?
また、上記、意見書を提出した理由についても明確に記されています。
その理由について、具体的に以下5点に分けて説明していきます。
1.改正貸金業法導入後の成果を踏まえた今後の考察
まず、2010年の貸金業法改正による問題の改善とその成果を今後、銀行カードローン業務の結果によって後退させるような事態を引き起こしてはならないということについてです。
上記でも述べた通り、2010年以前の貸金市場をめぐる多重債務者の増加は、大きな社会問題となっていました。
そしてこの問題を解決するために、出資法の上限金利を下げ、さらに総量規制を導入して、過剰貸し付けと借りすぎによる多重債務を防止するために貸金業法を改正し2010年に完全施行されたわけです。
日弁連は、この施行によって多重債務者数は171万人(2009)から12万人(2016)へ、自己破産件数は16万5932件(2006年)から6万3844件(2015年)へ、さらに、多重債務が原因と見られる自殺者数も1973人(2009年)から(2015年)667人とそれぞれが着実に減少したとして、その成果を示した上で、日本の消費者向け貸し付けは、改正法を踏まえた運営を構築するべきだとしています。
2.銀行カードローンにおける貸し付け増加
さらに、貸金業者に関する改正貸金業法の成果を踏まえた上で、銀行カードローンへの貸し付け増加の実態と過剰融資を誘発させるような銀行の宣伝、広告に対する懸念を示しています。
まず、銀行には、貸金業法の法規制が適用されないことを示した上で、銀行が、総量規制の対象外であることによって、3兆5442億円(2013年)から5兆1227億円(2016年)と短期間にカードローンの売り上げを伸ばしていることについて言及。
また、改正貸金業法の施行によって貸付事業の収益を減らすことになった消費者金融が保証事業に注力し、銀行の貸付保証業務を担当することで、顧客にとって無理な借り入れが行われてはいないかという問題を提示しています。
そして、それらに加え、改正貸金業法によって、消費者金融から融資を受けることが難しい顧客等への貸し付けが銀行によってなされ、過剰な貸し付けを行っているという実態はないかとした上で、広告等による宣伝について指摘されています。
例を挙げるならば、「総量規制の対象外です」、「最大〇〇〇万円 所得証明書一切不要!」「
専業主婦の方もOK」「収入証明書不要!」といった宣伝文句についてです。
このように、借り入れの際に収入が関係していないと思わせるような宣伝や総量規制の対象外であることを強調した広告を打つことによって、顧客の返済能力を度外視した貸し付けが行われないかということへの注意喚起がなされたのです。
3.銀行カードローンの実態調査アンケート結果
日弁連は、2016年6月から約1カ月半、多重債務相談を担当した弁護士に対して「銀行の個人向け貸付け(カードローン)に関するアンケート調査」を実施しています。
このアンケート(153件の回答)によって、銀行カードローンによる過剰な貸し付けの実態があったことについて言及し、ほぼ全ての回答において銀行の与信に問題があることを挙げ、これらに対する早急な対応を求めています。
具体的な内容としては、借入当時、借入総額が年収の3分の1を超えていたものが95件、
銀行から50万円以上の借入をする時、収入証明書の提出を求められることなく借入できたものが、32件という結果が出ています。
また、借入時の年収についてのアンケートでは、100万円超200万円以下が44名と一番多く、次いで200万円超300万円以下が38名、500万円から800万円になると数名しかおらず、800万円から1000万円は0名と比較的収入が少ない層がカードローンを利用していることが分かります。
しかし、一方で、銀行カードローン残高を見てみると1000万円以上まで借入残高があるものまで存在していたのです。
さらに、この日弁連の調査で、借入時、無収入だったにもかかわらず、300万円を収入証明書なしに借り入れた例や年収226万円の利用者に対して960万円の貸し付けがあった例など、類似するケースがいくつも発覚したのです。
このように、債務者の返済能力を超える貸し付けがなされていることへの懸念と「収入証明書」の提出を求めることなく貸し付けを行っている銀行のカードローン審査への甘さを日弁連は実態アンケートから指摘したのです。
4.総量規制の趣旨について
上記のさまざまな実態調査を踏まえた上で、金融庁による2010年「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の改正を抜粋し説明しています。
「改正貸金業法の趣旨を踏まえた適切な審査態勢等の構築」を求め,「銀行による貸付けが顧客にとって過剰な借入れとならないよう顧客の実態を踏まえた適切な審査態勢が構築されているか。」を問題にしているのであれば、銀行には総量規制の適用はないとはいえ、「収入証明書」の提出なしに、きちんとした与信調査を行わず、消費者金融に信用調査を一任した状態のままで安易に貸し付けを行うのは、上記に反するのではないかと指摘しています。
5.多重債務問題再燃への懸念
上記それぞれのような実態が明らかにされた上で、日弁連は、このような状態が続けば、多重者問題を再燃させる恐れがあると言及しています。
その理由として、自己破産者数の下げ止まりの傾向を指摘。
2010年以降減少を続けてきた自己破産者数が、2015年から前年度比100%を超えて減少がストップしたことから、銀行カードローンが、消費者金融の保証によって審査を行うことが顧客の過剰借り入れに加担している可能性が高いのではという予測を挙げています。
日弁連は、銀行カードローンについての独自の調査から、上記のような懸念を示し、早急の対応を訴えたのです。
次々と消えていく「収入証明書不要!」の文字、その裏でどのような動きがあったのか?
~日弁連の意見書とその後の各界の動き~
しかし、実際に、近年の銀行カードローン事業のあり方を注視してきたのは、日弁連ばかりではありませんでした。
2016年には、日本司法書士連合会が、多重債務問題シンポジウムを開催し、総量規制対象外である銀行の貸し付けや貸金業者による保証事業などを問題に上げ、議論が取り交わされています。
さらに、2016年12月13日に金融庁が開いた「多重債務者対策有識者会議」では、近年の銀行カードローン審査に対する懸念、また、消費者金融ばかりでなく銀行カードローンによる多重債務者の増加を危惧した発言が見られるなど、各界から銀行カードローンを問題視する声が上がってきたのです。
「収入証明不要の限度額競争、低金利競争はいつ始まったのか?」で述べたように、2015年を境にそれらの競争が激化していったことと上記のように各界から注視を受けるようになった時期は、重なっています。
そして、一度にそれだけの警視を受けた理由は、銀行カードローンの激しいサービス合戦が、目立っていたからだと言えるでしょう。
そして、2016年12月の「多重債務者対策有識者会議」の後すぐに、金融庁が銀行カードローンの実態調査に動き出すことになるのです。
経済市場の動きに翻弄され、経営不振からの脱却を賭けて好調な走りを見せていた銀行カードローンに、国の実態調査が入るとあって、銀行が連日対応に追われたことは間違いありません。
今年に入って、次々に銀行カードローン広告から「収入証明書不要!」の文字が消えていった理由も、日弁連の意見書から金融庁の対応までの一連の流れが関係していることは誰しもが予測できるところです。
さらに、日弁連からの的を絞った広告表現への指摘の他、広告についての指摘が、以下のようになされたのも、広告から「収入証明書不要!」の言葉が排除されていった要因と言えるでしょう。
2016年末に行われた全国銀行協会会長の記者会見で、日弁連からの銀行カードローンへの問題を受けてどのように対応を考えているかという記者からの質問に、國部氏は、健全なカードローン市場を構築していくために、監督指針に沿った業務運営等を各行自らがまず点検を行う必要があると述べていました。
そして、今年3月、全国銀行協会は、加盟銀行に対して、「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」によって、カードローン利用者に対する過剰貸し付けを未然に防ぐよう対策を要請したのです。
そこには、銀行カードローン、特に貸金業者による保証や審査を委託している銀行による多重債務者の抑制、さらに、顧客保護を考えた態勢の整備の重要性が述べられ、具体的に以下のような対応策が示されました。
それは、「配慮に欠けた広告・宣伝の抑制」と「健全な消費者金融市場の形成に向けた審査態勢等の整備」の2点です。
1.「配慮に欠けた広告・宣伝の抑制」では、銀行は、改正貸金業法の趣旨を踏まえた上で適切な表示に努めることと明記。
具体的には、「総量規制の対象外」「年収証明書不要」など、過剰な借り入れを促すような表示を行わないこと。
また、それらを強調するような表示ばかりでなく、広告・宣伝の中で過剰な借り入れに対しる注意喚起をおこなうなど多重債務の抑制への対応。
2.「健全な消費者金融市場の形成に向けた審査態勢等の整備」では、利用者利便と顧客保護に配慮し、多重債務を抑制するという意味においても、年収証明書、信用情報機関の情報等等によって顧客の返済能力を把握に努めるという内容のものでした。
さらに、3月末付に出された「消費者との契約のあり方に関する留意事項」の改訂では、会見時に國部氏が述べたような「銀行業における表示に関する公正競争規約」の遵守や利用者の与信の把握、過剰な借り入れを促すような広告や勧誘への注意喚起など、上記と同様の内容が盛り込まれていました。
しかし、この全国銀行協会が発表した「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」に対して、今年4月、極めてあいまいで、過剰融資抑制効果は期待できないと異議を申し立てたのが日弁連でした。
そして、日弁連は、年収の3分の1を超えた貸し付けを行わないことを要求する声明文を出したのです。
このような流れを受けて、広告から「収入証明書不要!」が消えているばかりでなく、対策を余儀なくされた大手銀行は、4月末に過剰融資を防ぐ対策を開始したのです。
具体的には、これまで収入証明書なしで300万円や200万円まで貸し付けを行っていたところを、50万円超える場合は収入証明書の提出を求める方向で動き始め、実際に、広告を見てみると、融資額50万円を超える場合は、収入証明書の提出を求めるという文章に既に変わっている銀行が数行見られ、銀行側も素早い対応をとっていることが窺えます。
終わりに~銀行は、本当に利用者の立場に立ったカードローン商品を生み出してきたのか?~
このように銀行カードローンに対する問題やそれに対する指摘、その流れを見てみると、銀行は、本当に利用者の立場に立ったカードローン商品を生み出してきたのかという疑問が残ります。
ただ、銀行カードローン問題に対しての上記の流れを見てみると、各行の低金利競争や限度額の引き上げ等の鎬を削る攻防戦は、ごく近い将来、終息を迎えるであろうと見ることができるでしょう。
しかし、「収入証明書提出」の必要性を明示し、収入証明書提出が必要となる貸付金額を下げたところで、下げ止まりとなっている自己破産件数への変化や過剰な借り入れ抑制の根本的な対応となるのでしょうか。
日弁連が「意見書」、そして「声明文」でと繰り返し警笛を鳴らしているように、銀行への総量規制の導入は、今後、あるのでしょうか?それとも、それらの対応なくして、多重債務問題の再燃への懸念は、100%ぬぐい切れるのでしょうか。
さらに、保証会社を消費者金融が行っているという実態を消費者は、どのように受け止めていけばいいのでしょう。
改正貸金業法施行によって、個人融資事業からのこれまで同様の収益を見込むことができなくなってしまった消費者金融や景気が低迷する経済市場の中で、個人向けカードローン事業が最大の収益源であるという銀行に対しての締め付けは、あまりに気の毒のような気もします。
しかし、銀行ブランドという衣をまとった消費者金融が多重債務者を誘発させる元凶となり、あるいは、窮地に立った消費者金融を利用し、過剰貸付を行った上に顧客追い込んでも、その保障によって、焦げ付きがないという仕組みを利用する銀行には、同情の余地もないでしょう。
また、消費者金融が保証事業で収益を上げるためには、銀行のお客様が必要。
一方、銀行が収益を上げるためには、融資額を増やすことが重要。
そのような中で、「顧客の保全に配慮する」という全国銀行協会が掲げた対応策をどのようにして実現していくのでしょうか。
そして、銀行カードローンにおける限度額は、未だに高く設定されたままのところが多い中で、「顧客の保全」か「銀行収益」かという天秤に銀行がかけられたとするならば。
掌の上に乗った札束を捨てて、顧客を守りに走る律儀な銀行が、現代にどれだけ残っているのでしょう。
とは言え、銀行も貸金業者もお金という商品を扱う商売人です。
「顧客の保全に配慮する」と言っても、銀行も貸金業者も利益が無ければ存続は不可能です。
そして、そもそも、高額融資を希望し、それを受け取り、そして個人の利用目的のために使用するという顧客の一連の行動への責任は、銀行や貸金業者にあるのでしょうか。
その責任は、融資を受け、利用した顧客側にあるということになるのではないでしょうか。
例えば、銀行や貸金業者の法に触れるような執拗な勧誘によって、あるいは、お得だと勘違いをしてしまうような宣伝によって借金をしたが、実際の商品は違っていたというのであればそれは、相手方の詐欺ということになりますので話は別ですが。
結局のところ、自分の危機は自分で管理しなければならないのです。
「返せるわけのない限度額を貸したのはそっちだろう!」と多重債務者になった後で銀行側に訴えたところで、その後の処理に翻弄されるのは自分です。
そして、いくら銀行が顧客にとって最高のサービスの商品を豊富なラインナップで提供しているとしても、利用するかしないかを判断するのは、顧客自身なのです。
上記には、年収の20~25%が返済可能額だと書いてきました。
しかし、これはあくまで目安で、個人の事情によって、どのくらいの期間で返済するのかによっても変わってきます。
例えば、退職まであと数年だとすれば、その年数で完済させた方が楽ですし、結婚や子供が生まれる予定がある、住宅ローンを組む予定がある、子供が進学するといったことがあればまた違いが出てくるでしょう。
ですからまずは、現在の収入と支出を把握した上で、返済可能年数と将来的な支出を想定し、「年収(手取り額)~支出~貯蓄を含めた将来的な支出=年間の返済可能額」の計算式にあてはめ、自分の年間返済可能額について把握しておくことが重要なのです。
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