アメリカが円高にしたがる理由とは? 今さら聞けない為替の基本
円高と円安では何が違うの?まず基本を理解しよう
まず、「円安」と「円高」が何を指すのかから、おさらいしましょう。
円安とはドルやユーロといった外国の通貨に対し、円の価値が低い状態のことをいいます。
具体的には1ドルが100円から110円に変わった時に「円安ドル高」と表現します。
これまでは1ドルを100円で変えていたのにこれからは110円出さないと買えないということです。
円高はドルやユーロといった外国の通貨に対し、円の価値が高い状態のことです。
それまで1ドルを買うのに100円必要だったのに、90円で良くなったということで「円高ドル安」と表現します。
アメリカが円安を望む理由とは?
ではなぜアメリカは円安を望むのでしょうか。
「円安ドル高になると日本の輸出が有利になり、輸入では不利になります」というのが、教科書的な解答でしょう。
ですが貨幣価値は相対的なものであり、円安になる原因はいくつかあります。
いま世界中の投資家は、より金利の高く安定的に資産運用できる国に資金を投入しています。そして円は世界各国の通貨の中でも安全性が高いと認識されています。
2015年5月に急激に円安ドル高に転じたのはアメリカの中央銀行であるFRBが金利の引き上げを示唆したこと、日本の金融緩和により円の価値が下がったことによります。
円安が始まることで円安はさらに加速します。
2016年1月には日本もゼロ金利の導入に踏み切りました。さらに円安が続けば、アメリカのドルが強くなることが予想されます。
輸出入のメリット・デメリットだけでなく通貨価値の向上という側面が、アメリカが円安ドル高を容認する理由と考えるのはあながち的外れではないはずです。
今後の日本の為替政策とアメリカの介入に注目しよう!
2016年4月、麻生財務大臣はG20蔵相会議で「円高是正のために為替介入が必要」と各国に訴えましたが、日銀が発表している実質執行レートをみると22年ぶりの超円安であることがわかります。
アベノミクスの経済政策により円安によるGDPのマイナスが続いているのです。
ここで麻生財務大臣の言葉のまま為替介入しても日本のGDPが増えるとは思えません。
イギリスのEU脱退など世界の金融市場が大きく揺れ動く中、日本政府がどのような手を打とうとするのか、それにアメリカがどう介入するのか今後の動きが気になるところです。
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