母子父子寡婦福祉資金貸付金の審査は厳しい?貸付対象と融資までの流れを解説
生活をしていく上でお金に困ったら、公的な支援・貸付制度を利用できる場合があります。
銀行や消費者金融といった金融機関とは異なり貸し付けによって利益を出すことが目的ではないため、かなり低い金利で借り入れができるのがメリットだと言えるでしょう。
そのような公的な貸付制度の1つが「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」です。
融資を受けたい理由によって、修学資金、技能習得資金などのいくつかの種類に分けることができ、それぞれに限度額、貸付期間、利率が設定されています。
そのほとんどは保証人がいれば無利子での借り入れとなるため、制度の対象となる母子家庭や父子家庭の方は民間の金融機関よりも先に母子父子寡婦福祉資金貸付金制度が利用できないかを検討してください。
ただし税金を財源としているということもあり、申請があったからといって簡単に貸し付けを決定するということはなく、申込条件が厳しく審査はとても厳格に進められます。
この記事では、母子父子寡婦福祉資金貸付金の融資対象者になるための条件、審査の難易度、融資までの流れについて説明をしていきます。
母子父子寡婦福祉資金貸付金とはどのような制度?
この制度は厚生労働省が所管する制度で、申請先や相談先は住んでいる地方自治体の福祉担当窓口です。
融資対象者については、簡単に言えば母子家庭や父子家庭となります。
カードローンのように借りたお金を原則自由に使えるというわけではなく、申請をした資金の種類によって使途が限定されます。
資金の種類ごとに貸し付けの対象者、融資限度額、返済開始までの据置期間、返済期間、利率が変わるため事前の確認が必須です。
主な資金の種類には次のようなものがあります。
母子父子寡婦福祉資金貸付金の資金の種類
資金の種類 | 資金使途 |
---|---|
事業開始資金 | 事業を始めるために必要な初期費用 |
修学資金 | 高等学校、大学などの授業料、および、その他の修学するにあたり必要になる費用 |
技能習得資金 | 事業を始める、就職するために必要な知識や技能を習得するための費用(親が融資対象) |
修業資金 | 事業を始める、就職するために必要な知識や技能を習得するための費用(子が融資対象) |
就職支度資金 | 就職するにあたり必要な衣類や自動車などを購入する費用(子が融資対象) |
医療介護資金 | 医療や介護を受けるために必要な費用 |
生活資金 | 次の期間中の生活を安定させるための補填資金 ①知識や技能を習得している間 ②母子・父子家庭になって7年未満 ③失業中 |
住宅資金 | 住宅の建設、補修などにかかる費用 |
上記以外にも、いくつか資金の種類があるので、詳しくは地方自治体で相談をしてください。
次に、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の対象者について説明をしていきます。
貸付対象となるのはどんな人?
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の対象になるのは次のような方です。
- 20歳未満の児童を扶養している配偶者のいない女性(母子家庭)
- 20歳未満の児童を扶養している配偶者のいない男性(父子家庭)
- 過去に20歳未満の児童を扶養していた女性(寡婦)
- 上記が扶養する児童
基本的に1~4の通りですが、もう少し詳しく見ていきましょう。
母子(1)・父子家庭(2)は離婚や死別だけに限定されない
母子家庭や父子家庭というと、配偶者と死別した、離婚したというイメージが強いかもしれませんがそれだけではありません。
配偶者には法律上の婚姻関係があった方だけでなく、内縁関係(事実婚)の方も含まれます。
そして、配偶者のいない状態には、次のような方も該当するのです。
- 配偶者の生死が不明である
- 配偶者が外国にいる、もしくは法律によって拘束されており扶養できない
- 配偶者に身体的、もしくは精神的な障害があり働くことができない
想像している母子・父子家庭よりも制度の対象になる範囲が広いと思います。貸付対象になるかどうか迷ったら自治体に相談をしてみると良いでしょう。
かつて母子家庭であった母親(3)も制度の対象になる
寡婦という言葉に馴染みがないかもしれません。
この制度においては、かつて20歳未満の児童を扶養していた女性という意味で使われています。
今現在、扶養している児童がいなくても母子父子寡婦福祉資金貸付金の制度を利用できるのです。
ただし、現在扶養している児童がいない場合には、申込者自身の年収に制限がかかるケースもあるので注意してください。
母子・父子家庭の子ども(4)も制度の対象になる
母子・父子家庭の親だけでなく、子も融資の対象になります。
ただ、子が申込者となるためには、親(母・父)が連帯保証人としての条件を満たしていないといけません。
また、借り入れの主体になるのが親か子かによっても利用できる資金の種類が違います。
子が利用できるのは主に修学や就職に関係するものです。
親が申請をする場合とは要件が異なるので、利用できるかどうかをしっかりと確認しましょう。
審査難易度は厳しい?
ここからは審査について説明をしていきます。
記事の冒頭でも説明した通り、公的な貸付制度は民間金融機関の融資審査よりも厳格です。
そして、消費者金融や銀行の融資と異なるのは、収入や財産が多すぎても制度の利用ができないということです。
生活に困窮している方の経済的な自立が目的の1つなので、支援がいらない人は貸し付けの対象にはなりません。
そのため、審査が厳しいというよりも「融資対象者になるための要件が多い」といった方が正確でしょう。
先に説明した貸付対象者であることに加えて、次のような条件を満たしている必要があります。
※ 自治体によって貸付対象になる条件が異なる場合があります。詳しくは、住んでいる地方自治体で確認をしてください。
返済能力がある(返済の見込みがある)
母子父子寡婦福祉資金貸付金は国の貸付制度ですが、借りたお金なので返済の必要があります。
そのため、基本的には返済能力がない人への融資はできません。
ただ、連帯保証人を付けることもできるため、今後、就労によって安定した収入を得ていける見込みがあるなら申請が許可されるケースもあります。
世帯所得が一定金額以下である
一方、世帯の所得が一定金額より多い場合にも審査に通過できません。
個人の所得ではなく世帯の所得なので、安定した収入があるご両親や兄弟と同一生計であるという方もNGです。
連帯保証人を付けることができる
絶対ではありませんが、申請には連帯保証人が必要になります。
連帯保証人になるための条件は自治体によっても異なりますが、60歳未満の親族である、申込者と別生計であるなどが要件となっています。
いなくても申請はできますが、連帯保証人がいた方が審査には通りやすく、無利子で融資を受けられるというのが大きなメリットです。
申込者・連帯保証人は面接も必要
申請にあたって申込者、連帯保証人は面接を受ける必要があります。
面接を行うのは、より正確に制度の要件を満たしているのかを判断すること、保証能力を見極めることが目的です。
消費者金融や銀行のローンでは書類だけで融資の可否を決定することが多いので、この点は一般的な貸付審査と大きく異なる点でしょう。
審査に落ちてしまう人の特徴
母子父子寡婦福祉資金貸付金も、カードローンなどの審査と同じように総合的に判断されます。
ただ、カードローンよりも融資対象になるための条件が多いため、審査落ちの理由を特定するのは難しいでしょう。
後ほど詳しく説明していきますが、自治体の福祉担当窓口で事前相談を行ないます。
そのため、基本的な条件を満たしているかどうかは、相談をした時点で分かるでしょう。もし、申請をしたものの審査で否決されてしまったというケースでは、次のような可能性が考えられます。
提出書類の準備ができなかった
利用するためには次の書類が必要になります。
- 母子父子寡婦福祉資金貸付申請書
- 申請者と連帯借主の戸籍謄本、および世帯全員の住民票
- 連帯保証人の世帯全員の住民票
- 申請者、および連帯保証人の所得課税証明書
- 個人情報に関する同意書
- 利用したい資金の種類ごとで必要な書類
本人確認書類だけでも借り入れができる消費者金融のカードローンと比べると、かなり必要な書類が多いことが分かりますね。
これらの書類をすべて用意できなければ、審査に通ることはありません。
健康保険料・住民税、借金の滞納がある
利用には返済能力が必要ですが、健康保険料や住民税、借金などを滞納している場合にも要注意です。
それらの返済が滞っていると、十分な返済能力なしとみなされる可能性が高く、審査に通過することはないでしょう。
厚生労働省が進める制度ではありますが、一般的な金融機関の貸し付けと同じように他社借入なども重要になります。
非営利の貸し付けだからといって、審査基準は甘くありません。
申請内容に嘘があった
事前相談で伝えた内容と事実が異なるという場合、審査に通過することはないでしょう。
先ほども説明したように申請をするときには様々な書類を提出します。そのため申請条件を満たしているように偽っても、書類などを確認すれば事実ではないことはすぐにバレてしまいます。
貸し付けの可否は時間をかけて審査されるので、必ず正確な情報で手続きを進めてください。
融資を受けるまでの流れ
最後に融資を受けるまでの流れを説明していきます。
カードローンの審査は最短で即日、長くても1~2週間程度ですが、母子父子寡婦福祉資金貸付金は融資までには1ヶ月程度かかるので注意が必要です。
通常、母子父子寡婦福祉資金貸付金を利用するためには、次のような手順になります。
①住んでいる地方自治体での相談
②申請可否の判断
③申請の準備
書類の準備
保証人の選定
連帯保証人などとの面接
④申請
⑤審査
⑥貸付可否の決定
⑦借用書、口座振替書の提出
⑧貸付金の交付
融資を受けるまでには、②申請可否の判断、③申請の準備、⑤審査といった工程があります。
制度の主旨にそぐわない場合、審査の必要なく融資対象にならないと判断できる場合には自治体での事前相談をした段階でその旨が伝えられるでしょう。
ただ、母子家庭、父子家庭が利用できる制度は他にもあるので、別の公的な支援・貸付制度を教えてもらえることもあります。
そして申請をするためには書類の準備と並行して、保証人を選び面談をこなさなくてはいけません。
これらすべてをクリアした段階で正式な申し込みができ、審査が開始されるのです。
無事に審査に通過すれば借用書、口座振替書を提出して融資を待つことになります。ただ、申請ができた方でも審査の結果貸し付けができないと判断されるケースもあるので注意してください。
事前相談から融資までは約1ヶ月で、その後据置期間の終了とともに返済が始まります。
母子父子寡婦福祉資金貸付金の利用条件は多い!まずは自治体の窓口で相談
カードローンを利用したことがある、申し込みを検討したことがあるという方は分かると思いますが、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度を利用するための条件は非常に多いです。
これは、公的資金を財源としている国の貸付制度であるからだと言えます。
連帯保証人を立てることで無利子での貸し付けとなり、連帯保証人なしでもとても低金利なのは大きなメリットですが、利用するためには厳しい条件をすべて満たし、審査に通過しないといけません。
また、融資までも1ヶ月程度はかかるので、すぐにお金が必要というシチュエーションには向いていないでしょう。
まずは、申請できるか、審査に通る見込みがあるのかが重要なので、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の利用を考えている方は自治体の窓口で相談をしてください。
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