最大で600万円を給付!コロナで売上が減少した事業者のための「家賃支援給付金」とは?
新型コロナウイルス感染症の拡大で、売上が大きく減少した事業者の方も多いと思います。
休業要請を受けて営業を自粛していた事業者の方も、営業しているものの外出自粛によって人が来なかった事業者の方もいるでしょう。
単純にその期間中の売上がなくなる、減少するというのも厳しいですが、ニュースなどを見ていると「店舗の入るテナントの家賃の支払いが苦しい」という声をよく聞きます。
もしテナント賃料の支払いに苦しんでいるなら「家賃支援給付金」の利用を検討すると良いでしょう。
家賃支援給付金は、テナント事業者への給付金で、支払っている家賃の一部を給付金として受け取れます。
令和2年度の第2次補正予算に盛り込まれており、すでに参議院本会議で可決・成立しており、現時点では申請の受付開始に向けた準備が進められています。
実際の申請方法や給付内容などは、今後、経済産業省などのホームページで公表される予定です。
この記事では、現時点で分かっている家賃支援給付金の内容についてまとめました。
ほぼ現金を使用しないキャッシュレス生活を送るアラサー男子。クレジットカードのポイントを貯めることを第一に考えているため、買い物は値段よりも、還元率を重視するという本末転倒っぷり。
家賃支援給付金の事業概要
テナント賃料などの固定費は営業しているかに関係なく発生するため、運営している店舗数が多い事業者ほどその負担は大きくなるでしょう。
「新型コロナの影響で一時的に売上がないのであれば、オーナーさんも配慮してくれれば良いのに…」と私も安易に考えたのですが、オーナー側もテナントの撤退や賃料の減額交渉などでかなり苦労されているようです。
そこで準備が進められているのが「家賃支援給付金」で、条件はあるものの、毎月支払っている家賃の一部の半年分を国から補助してもらえます。
まずは、家賃支給給付金の対象者と給付額の計算方法について説明していきます。
家賃支援給付金の対象者
【家賃支援給付金の対象】
中堅企業、中小企業、小規模事業者、個人事業者など
【家賃支援給付金の条件】
2020年5月~12月までの間で次のどちらかを満たしていることが条件です。
①いずれか1ヶ月の売上高が前年同月比で50%以上減少
②連続する3ヶ月の売上高が前年同月比で30%以上減少
①のケースであれば、前年の同じ月と売上高を比べて、今年が半分以下になっていれば条件を満たします。
例えば、前年5月の売上高が100万円なら、今年の5月の売上高が50万円以下だと条件を満たすということです。
②については、30%以上なので減少幅の条件は少しハードルが低くなりますが、連続する3ヶ月の売上高を前年の同じ月と比較します。
休業要請や自粛によって5月の営業を行なっていなかった、控えていたというケースでは、①を満たす可能性が高いでしょう。
どちらか一方を満たしていれば良いので、まずは前年度の売上と今年度の5月以降の売上を比較してください。
家賃支援給付金の給付額
家賃支援給付金では「家賃月額の一部」の6ヶ月分が給付されます。
給付金の申請をした直近の支払家賃の月額を基準に金額が決まり、法人の場合は月額100万円、個人事業者の場合は月額50万円が上限です。
また、上限は家賃の金額だけでなく、店舗数などによっても変わるようです。
【家賃支援給付金の上限】
事業者 | 給付額(月額)の上限 | 給付総額の上限 |
---|---|---|
法人 | 100万円 | 600万円 |
個人 | 50万円 | 300万円 |
法人と個人事業者の場合に分けて、家賃支援給付金の上限額について確認していきましょう。
法人の場合の上限
法人は月額100万円が上限なので、その場合、給付されるのはその6ヶ月分の600万円までということになります。
ただし、支払家賃の月額が75万円以下であれば給付率は2/3です。
家賃の月額が30万円なら、その2/3である20万円が給付月額になります。
そして、複数の店舗を経営している場合など、75万円を超える部分についてはその1/3が追加で補助されます。
『例:月額上限である100万円ちょうどの給付になる支払家賃225万円のケース』
(75万円×2/3)+(225万円-75万円×1/3)=100万円
75万円までは給付率2/3なので50万円。
75万円を超えた部分の150万円については給付率1/3で計算して50万円。
これで50万円+50万円で上限ちょうどの100万円となります。
たとえ支払家賃が225万円を超えていても、給付される月額は100万円までなので注意してください。
家賃の支払いが1店舗だけで、75万円以下の場合には、単純に家賃の2/3が給付月額になると思って大丈夫でしょう。
個人事業者の場合の上限
個人事業主の場合には、給付月額の上限が50万円と法人の半分になります。
給付は半年分なので、最大で300万円(50万円×6ヶ月)ということですね。
また、法人と同様に経営する店舗数、家賃の支払額によって、給付率が変動する点も一緒です。
ただし、給付率が変わる支払家賃の基準額が法人とは異なるので注意してください。
個人事業者は37.5万円以下の支払家賃であれば、その2/3が給付月額になります。
37.5万円の家賃なら、1ヶ月あたり25万円の補助ということです。
そして、複数店舗を経営しているなど、支払家賃が37.5万円を超える場合には、その超えた分については給付率1/3で計算を行います。
『例:月額上限である50万円ちょうどの給付になる支払家賃112.5万円のケース』
(37.5万円×2/3)+(112.5万円-37.5万円×1/3)=50万円
37.5万円以下の支払家賃は給付率2/3なので25万円。
37.5万円を超えた部分の75万円については給付率1/3で計算して25万円。
これで25万円+25万円で上限ちょうどの50万円となります。
法人と比べると個人事業者の負担するテナント賃料は低いケースも多いでしょうが、それでも最大で月額50万円、総額300万円の給付金を受け取れます。
テナント賃料の全額が補助されるわけではないものの、かなり負担を減らせるはずなので条件を満たす方は検討すべきでしょう。
家賃支援給付金の申請受付は7月以降になる見込み
家賃支援給付金は2020年6月下旬からの受付開始という話でしたが、申請方法や審査の仕組みなどの調整に時間がかかっており、7月以降になる見通しだと6月20日にNHKが伝えました。
(参考ニュース:NHK 「家賃支援給付金」受け付け開始 7月にずれ込む見通しに)
まだ具体的な制度の内容や申請方法について正式に発表されているわけではないものの、申請は原則オンラインになるとのことです。
現時点では入札によりリクルートなどに業務委託されることが決まっています。
株式会社リクルート(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:北村吉弘)はこの度、経済産業省中小企業庁による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の追加緊急経済対策の1つで、地代・家賃の負担を軽減することで中小企業様や個人事業者様などの事業継続を下支えすることを目的とした家賃支援給付金の事務業務を受託しましたので、お知らせいたします。
記事の冒頭でもお話しした通り、申請の受付開始については経済産業省などのホームページで公表されるとのことなので、給付金の申請を考えている事業者の方は最新情報を確認するようにしてください。
次章では、家賃支援給付金の申請で必要になるだろう書類について説明していきます。
申請をしても審査に一定の時間がかかる見込みなので、お急ぎなら書類の準備をしておいた方が良いでしょう。
家賃支援給付金の申請のために用意しておいた方が良い書類
あくまでも現時点での予想ですが、家賃支援給付金の申請には次のような書類が少なくても必要であろうと考えられます。
【家賃支援給付金の申請のために用意しておいた方が良い書類】
・賃貸借契約書
・家賃の支払状況を証明するもの(通帳の写し、ネットバンキングの取引履歴など)
・前年度と今年度の売上が分かるもの(確定申告書類など)
家賃支援給付金の概要を見る限り、最低でもこれらは必要になるでしょう。
家賃の支払実態を確認するために、テナントの契約書や賃料の引落記録が要ります。
申請の直近に支払いを行なった記録が確認できる通帳の写し、もしくはネットバンキングの取引履歴画面の画像などを用意すれば大丈夫です。
また、申請要件を満たしているかを確認するために、前年度と今年度の売上が分かるものも用意しなくてはいけません。
前年度の売上については確定申告書類で確認可能です。
今年度分の売上は、売上台帳などで確認することになると思います。
経理ソフトを使っているのであればそこから出力したデータ、そうでないなら自身で作成しているエクセルのデータ、手書きの売上台帳などになるでしょう。
すでに別の給付金などの申請を行なった事業者の方であれば手元にあるかもしれませんが、ない場合にはこれらを用意しておくとスムーズです。
繰り返しになりますが、実際の申請方法は経済産業省のホームページなどで案内されるため、そこで確認の上、申請の手続きをするようにしてください。
コロナで家賃の支払いに困ったら。事業者向けの給付金・貸付制度
家賃支援給付金は7月中の申請受付開始になる見通しです。
一刻も早く給付金を受け取りたいという事業者の方も多いと思いますが、給付にあたっては条件を満たしているかの審査もあり、申請すればすぐに振り込まれるわけではありません。
家賃支援給付金以外にも、事業者が利用できる給付金や貸付制度はあります。
いずれもすぐに振り込みがあるわけではないものの、家賃支援給付金とあわせて検討すべきでしょう。
【事業者向けの給付金・貸付制度】
・持続化給付金
・日本政策金融公庫 新型コロナウイルス感染症特別貸付
・商工組合中央金庫 危機対応融資
・民間金融機関の実質無利子融資
それぞれの制度に条件があるため、必ずしも利用できるとは限りません。
ただ、様々な制度があるので、どのようなものがあるか知っておくことは重要です。
簡単にそれぞれの制度について説明していきます。
持続化給付金
持続化給付金は中小企業や個人事業者のための給付金で、法人は200万円、個人は100万円を上限に給付金を受け取れます。
2020年1月~12月のうち、売上が前年同月比で50%以上減少している事業者が対象です。
家賃支援給付金と条件が近いですが、持続化給付金は「1月から」なので、より多くの事業者が対象になる可能性があります。
すでに申請受付が始まっているため、家賃支援給付金だけでなく持続化給付金も検討すべきでしょう。
日本政策金融公庫 新型コロナウイルス感染症特別貸付
日本政策金融公庫はいわゆる政府系の金融機関で、国民生活事業と中小企業事業の両方で「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を用意しています。
給付金ではなく融資にはなりますが、政府系の金融機関ということもあり超低金利で、一部実質無利子になるような制度も用意されています。
【国民生活事業 新型コロナウイルス感染症特別貸付】
対象者 |
新型コロナウイルス感染症により、一時的に業績が悪化しており、次の①、もしくは②に該当し、中長期的に業績の回復・発展が見込まれる方 |
---|---|
資金使途 | 新型コロナウイルス感染症の影響で生じた社会的要因などによって必要な設備資金、運転資金 |
融資限度額 | 6,000万円 |
【中小企業事業 新型コロナウイルス感染症特別貸付】
対象者 |
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、次のすべてに該当する方 |
---|---|
資金使途 | 新型コロナウイルス感染症の影響で生じた社会的要因などによって必要な設備資金、運転資金 |
融資限度額 | 3億円 |
家賃支援給付金や持続化給付金などと比べると、売上高は5%以上の減少なので利用しやすくなっています。
ただ、返済の見込みがなければ融資を受けることはできないため、その点は通常のローン審査と同様です。
商工組合中央金庫 危機対応融資
商工組合中央金庫が行う、新型コロナウイルス感染症により業績が悪化した事業者向けの融資です。
融資限度額は最大3億円で、運転資金や設備資金に充てることができます。
【商工組合中央金庫 危機対応融資】
対象者 |
新型コロナウイルス感染症により、一時的に業績が悪化しており、次の①、もしくは②に該当する方 |
---|---|
資金使途 | 設備資金、運転資金 |
融資限度額 | 3億円 |
※ 業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合、店舗数の増加・合併・業種の転換など単純に前年、または前々年同期と比較できないケース。
民間金融機関の実質無利子融資
民間の金融機関でも、国からの補助を受けている融資制度であれば実質無利子での借り入れが可能です。
当初3年間は利子が補助されるため実質無利子となります。
制度の拡充前は最大3,000万円の融資でしたが、4,000万円まで融資額が引き上げられました。
相談先は経済産業省が設置している「中小企業金融相談窓口」です。
新型コロナによる影響を受けている(受けるおそれのある)事業者から金融関連の相談を受け付けているので、コロナ関連で資金繰りに困っているなら利用すると良いでしょう。
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【まとめ】家賃支援給付金の申請は7月以降の開始になる見通し!別の支援制度もあわせて検討を
テナント賃料の一部の半年分を補助してくれる家賃支援給付金について紹介しました。
事業の運営にかかる費用の中でも、テナントの賃料は高額になりやすく、営業できない状態でもその負担は減りません。
そのため、新型コロナの影響で売上が減っていて、賃料の支払いが苦しい場合は制度の利用を検討してください。
また、家賃支援給付金は7月以降に申請受付が開始となる見通しですが、持続化給付金など別の支援制度はすでに申請可能です。
事業を継続するためにも利用できる制度を調べて、家賃支援給付金とあわせて検討すべきでしょう。
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