無職の人や生活保護を受けている人でも債務整理はできるのか?
失いたくない財産を手元に残したまま、借金を減らすことのできる債務整理の方法が「個人再生」です。
一定以上の価値を持つ財産を手放さなければならない「自己破産」とは違ったやり方で借金を減らすことが出来る仕組みですが、無職であったり、生活保護を受けていたりする方でも、個人再生を利用することは出来るのでしょうか。
■無職の方、生活保護を受給している方でも個人再生はできるのか
自己破産を行なった場合、すべての借金は免責されますが、その代わりに20万円以上の財産は没収されてしまいます。
しかし個人再生の場合、ある条件を満たせば、財産を失わずに借金を減らすことが出来ます。ですから、大切な財産を失いたくない場合は、自己破産ではなく個人再生を利用したいと考えることになるでしょう。
しかしながら、個人再生が認められるためには、減額された借金を3~5年で支払えることを証明しなければなりません。そのため、無職・無収入、あるいは生活保護受給者の方々は、残念ながら個人再生を申告しても認可される可能性は低いといえます。
個人再生の手続きを始めるにあたっては、大きく3つの条件をクリアしていることが必要です。
個人の債務者であること
債務の合計金額が5000万円以下であること
継続的に収入を得られる見込みがあること
無職であったり生活保護を受けていたりする場合には、③の条件である「継続的な収入を得られる見込みがあること」を満たせません。そのため、個人再生が認可される可能性は低くなってしまいます。仮に、どうしても個人再生を使いたいということであれば、まずは仕事に就き、定期的に収入を得られる環境を整えることから始めましょう。
■非正規雇用者が個人再生を利用することはできるのか
派遣やパート、アルバイトといった非正規雇用で働いていたとしても、継続的な収入が見込めれば個人再生を利用できる可能性はあります。
正社員・非正社員といった肩書ではなく、将来にわたって継続的に収入が得られる状況であるか否か、借金を返済できるだけの能力があるのか無いのかが重要です。
しかし、定期的な収入が得られているとしても、少額すぎて、日々の生活だけでギリギリだ…という場合には、借金を返済する能力が無いとみなされ、個人再生が認められないこともあります。
■フリーランスで活動する人は、個人再生を利用できるのか
フリーランスで活動している人は、定期的に収入を得られるとは限りません。
月に応じて、収入が大幅に増減することもあるため、個人再生を利用できないのではないかと思われるかもしれません。
しかし実は、最低3か月に1度だけでも借金の返済が出来れば、個人再生を利用することは出来ます。そのため、毎月継続的に収入を得ている訳では無くとも、3か月に1度の弁済が出来る見込みがあれば、フリーランスでも個人再生は可能です。
■債務整理が出来るのか、弁護士に相談してみよう
結論としては、無職の人や生活保護を受けている方は、個人再生という形で債務整理を行うことは難しいといえます。しかし、個人再生ではなく自己破産という形になったとしても、決して悲観する必要はありません。
自己破産は借金の苦しみから人々を守るために作られた債務整理のひとつです。
一人で借金を抱え込まずに弁護士と相談することで、自分にあった債務整理をおこない、人生の第二章をスタートさせましょう。
もし、自己破産の手続きをおこなうための弁護士費用も支払うことが出来ない状況であれば、法テラス(日本司法支援センター)に相談してみましょう。
この機関は、法的トラブルを解決するための公的案内所であり、弁護士費用の立て替えなどの支援もおこなってくれるので、きっとあなたを助ける手がかりが見つかるはずです。