借金の返済に困っている方は、債務整理をすることでその負担を軽減できます。
ただ、債務整理にはいくつかの方法があり、借金や収入、資産の状況によって適切な方法は変わるので注意が必要です。
今回は個人再生を検討している方向けに、そのメリット・デメリットや手続きの流れなど個人再生がどのような債務整理なのかについて説明していきます。
個人再生のメリットとして住宅ローンの残っている自宅を処分することなく手続きできる点がよく挙げられますが、実は、それにもいくつかの条件があります。
任意整理や自己破産といった他の債務整理とも比較しながら特徴を説明していくので、個人再生を検討している方はぜひ参考にしてください。
個人再生とは?
個人再生は債務の総額に応じて、借金を大幅に減額することのできる債務整理です。
詳しくは後述しますが、基本的に利息のカットしかできない任意整理よりも大きく借金が減り、必要最低限のものを残して財産を処分しなければいけない自己破産ほどのデメリットはありません。
また、ローンの残っている自宅を手放すことなく手続きすることもできます。
個人再生は、任意整理では対応できないほどの借金があり、住宅などの高額な資産を持っている方向けの債務整理だといえるでしょう。
ただし、個人再生をするためには裁判で「再生計画案」を認めてもらい、その後は再生計画案にそって返済をする必要があります。
そのため、裁判所を通さずに債権者と直接交渉する任意整理、返済能力がなくてもできる自己破産と比べて手続きのハードルは高くなると思ってください。
個人再生と任意整理・自己破産の違いとは?
主な債務整理としては、個人再生以外にも、任意整理や自己破産といった方法が挙げられます。
債務整理を検討する場合には、これらの中から自身の状況に合った方法を選ぶことになるでしょう。
これらの方法には様々な違いがありますが、分かりやすい部分でいえば借金の減額幅が異なります。
それぞれの債務整理でよく比較される部分を表にまとめました。
個人再生と任意整理・自己破産の違い
個人再生 | 任意整理 | 自己破産 | |
---|---|---|---|
減額効果 | 1/5程度まで減額 | 原則利息のみカット | 返済義務の免除 |
住宅への影響 | ローンありでも対象から外せる※1 | ローンありでも対象から外せる※2 | あり |
自動車への影響 | ローンなしなら影響なし | ローンありでも対象から外せる※2 | あり |
職業制限 | なし | なし | 一時的にあり |
官報 | 掲載あり | 掲載なし | 掲載あり |
※1 住宅ローン特則を利用することで、ローンの残っている住宅を手放さずに手続き可能。
※2 返済条件を交渉する債権者を選択できますが、住宅ローン、自動車ローンを任意整理するのは一般的ではありません。
もう少し詳しく個人再生との違いについて見ていきましょう。
個人再生と任意整理の比較
個人再生では債務の総額をおよそ1/5程度まで減らすことも可能ですが、任意整理では基本的に利息のカットのみです。
つまり、元金は全額を返す必要があります。
実際の返済条件については交渉によって決まりますが、元金を大きく減額することは期待できません。
任意整理をすると、おおむね元金を3年~5年間で返済することになります。
今の収入で考えた場合に3年~5年間で完済できるかどうかが任意整理をするかのポイントになるでしょう。
交渉次第でもう少し長い期間にすることも可能ですが、もし5年間でも完済が難しそうなら個人再生や自己破産を検討すべきです。
借金が380万円の場合。個人再生と任意整理のどちらを選ぶ?自己破産との違いは?
個人再生と自己破産の比較
自己破産は任意整理や個人再生とは違い、借金の返済義務が免除されます。
つまり、自己破産をすると借金を返さなくても良くなるのです。
正確には裁判で免責を受ける必要がありますが、この点が個人再生と大きく異なる部分です。
個人再生や任意整理をするためには返済能力が求められますが、自己破産に関しては十分な収入がない状態、失業中でも手続きできます。
ただし、自己破産をすると生活に必要な最低限のものを除いては処分しないといけません。
自己破産では、お金に変えることのできるものは変えて返済に充てるのです。
ローンが残っていなくても自動車や住宅などの価値のある資産は没収されてしまうので、借金を返さなくても良いものの、生活へ与える影響は大きいでしょう。
個人再生であれば強制的に財産が処分されることはなく、住宅ローンに関しては対象から外して手続きする方法もあります。
このように残す価値のある資産を持っていて、減額してもらえれば返済できる見込みがあるという場合には自己破産よりも個人再生が良いでしょう。
個人再生をするための条件|できない場合はどうすれば良い?
前述の通り、個人再生は裁判で再生計画案を認可してもらうことが必須です。
また、個人再生をするには次のような条件もあります。
【個人再生をするための条件】
- 住宅ローンを除く、借金の総額が5,000万円以下であること
- 安定した継続収入があり、減額後の債務の返済が見込めること
最低限でもこれら2つの条件をクリアした上で、再生計画案の認可を求めることになります。
どのような条件なのかを確認していきましょう。
①(住宅ローンを除き)借金の総額が5,000万円以下であること
個人再生をすることができるのは、引き直し計算後の債務が5,000万円以下の場合です。
個人の債務であればあまり多いケースではないかもしれませんが、債務総額が5,000万円超だと個人再生はできません。
そもそも個人再生は煩雑で、時間のかかる「民事再生」の手続きを簡素化したものです。
5,000万円超の債務に対して簡素化した手続きで適用してしまうと、債権者が大きな不利益を被る危険性があるため5,000万円以下という条件がつきます。
また、引き直し計算とは、利息制限法にもとづき利息を再計算することです。
以前からあるような借金はいわゆるグレーゾーンで利息制限法を超える金利が適用されていた可能性もあり、超過した利息(過払い金)については支払い不要なので、過払い金があれば債務と相殺されます。
この引き直し計算をしても債務が5,000万円を超えるなら、個人再生をすることはできないため別の方法で債務整理をする必要があるでしょう。
ただし、住宅ローン特則を利用する場合には、住宅ローンの残高は債務に含めません。
そもそも住宅ローンを組んでいない人には無関係ですが、該当する人は住宅ローン特則を利用するかどうかも重要になります。
債務が高額な方は5,000万円を超えていないかを確認するようにしてください。
②安定した継続収入があり、減額後の債務の返済が見込めること
個人再生は任意整理と同じく、手続きをしても債務の返済義務は残ります。
借金は1/5程度まで減額できますが、減額後の債務を支払うだけの返済能力がないと個人再生はできないのです。
この点が自己破産と大きく異なる部分で、無職の人などは条件を満たしませんし、収入があっても十分な額でなければ再生計画案は認められないでしょう。
先ほども説明しましたが、個人再生では再生計画案の認可が必要です。
個人再生は原則3年、最長5年で減額後の債務を返していきます。
再生計画案とは「債務を何回に分けて返すのか」、「いつまでに返すのか」、「どのように返していくのか」などをまとめた返済計画のことです。
裁判を通して、この返済計画が現実的かを判断されることになります。
例えば、「現在の収入からは難しい金額を月々払おうとしている」、「現在、失業しているため返済能力がない」といったケースだと個人再生はできないと思ってください。
個人再生をするためにはこれら2つの条件を満たしていないといけません。
条件を満たせずに個人再生ができない場合には、自己破産など別の債務整理を検討する必要があります。
なかなか自分1人で判断するのは難しいので、弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。
個人再生の種類
個人再生には次の2つの種類があり、どちらかを選択することになります。
【個人再生の種類】
- 小規模個人再生
- 給与所得者等再生
個人再生を申し立てるための基本的な条件については説明した通りですが、方法ごとに別の条件もあるので注意が必要です。
細かな説明は以下で行いますが、①「小規模個人再生」は自営業者や非正規雇用者向けの手続きで、②「給与所得者等再生」は主に正規雇用の給与所得者向けの手続きといえます。
①小規模個人再生
小規模個人再生は、最低弁済額と所有する財産の合計金額を比べて、多い方の金額を原則3年間で分割返済していきます。
個人再生では再生計画案を認めるかどうかの決議が取られるのですが、その際に次の基準をクリアしないと手続きは廃止となります。
「債権者の1/2以上の反対がないこと」かつ「反対した債権者の債権額の合計が全債権額の1/2を超えていないこと」
ただし、「住宅資金特別条項」(住宅ローン特則)を利用する場合は、住宅ローンの債権者に議決権はなく、債権者数、債権額のいずれにも算入されません。
住宅ローンは債務の中でも高額になりやすいため、再生計画案に反対すれば1社でも「反対した債権者の債権額の合計が全債権額の1/2を超えていないこと」という条件を満たせない可能性があります。
そのため、住宅ローン特則を利用する場合には、債権者数、債権額には含まれないのです。
ちなみに、給与所得者でも小規模個人再生を選択することはできます。
給与所得者等再生より返済額が少なくなる場合もあり、小規模個人再生を選ぶ人も多いです。
やはり返済金額がより少なくなるというのは大きなメリットなので、基本的には「個人再生=小規模個人再生」と考えても間違いではありません。
実際にどちらを選択するかは弁護士などの専門家と相談しながら決めていくことになるでしょう。
②給与所得者等再生
給与所得者等再生は、給与などの安定した収入があって、月々の収入に大きな変動がない人向けの手続きです。
前述の通り、小規模個人再生と比べると、返済する金額が基本的に大きくなります。
もともと(小規模)個人再生は、企業の行う民事再生を個人の事業者でも手続きできるようにしたものですが、より安定した収入のある方の利用できる特別な個人再生が「給与所得者等再生」なのです。
この方法で個人再生をするためには、給与のように定期的で、大きな変動のない収入が求められます。
給与(賃金)は1ヶ月に1回以上の支払いが原則です。
賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。(後略)
労働基準法第24条 第2項
このように給与を貰っている人は、収入の安定性が個人事業主よりも高いのです。
ただし、給与所得者でなくても、安定した定期収入があれば手続きできます。
あえて給与所得者等再生を選ぶ理由としては、小規模個人再生のような決議に関する要件がないことが挙げられます。
そのため、再生計画案に反対する債権者が多そうな場合、高額債権者が反対しそうな場合でも再生計画案の認可を左右されにくいという点がメリットなのです。
ちなみに、過去7年以内に「自己破産によって免責されている方」、「ハードシップ免責許可決定を受けている方」などは給与所得者等再生を行えないので、過去に債務整理を行なっている人は注意してください。
個人再生のメリット
次に個人再生のメリットを見ていきましょう。
【個人再生のメリット】
- 債務の総額を大きく減額することができる
- 自己破産とは異なり、所有する資産を処分する必要がない
- ローンのある住宅を残したまま債務整理を行える
- ギャンブルなどが原因の借金でも債務整理できる
個人再生を弁護士に依頼すると債権者へ受任通知が送られ、金融機関からの督促は止まります。
これは債務整理全般にいえるメリットなので、今回は省略しています。
上記のメリットについて詳しく説明していきます。
債務の総額を大きく減額することができる
個人再生は任意整理と比べると借金を大きく減額できる点がメリットの1つです。
ただし、小規模個人再生と給与所得者等再生で減額幅は異なります。
まずは小規模個人再生の場合について見てみましょう。
小規模個人再生の最低弁済額
債務総額 | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 全額 |
100万円以上~500万円以下 | 100万円まで減額 |
500万円超~1,500万円以下 | 1/5まで減額 |
1,500万円超~3,000万円以下 | 300万円まで減額 |
3,000万円超~5,000万円以下 | 1/10まで減額 |
個人再生は表のように借金の額によって、最低弁済額が決まります。
500万円以下であれば100万円まで減額され、500万円超~1,500万円だと1/5まで減額されるのです。
債務総額が大きくなると、その分、減額幅も大きくなっていきますが、100万円未満の借金に関してはその全額が最低弁済額になるため個人再生の効果は薄いでしょう。
また、所有している財産が最低弁済額よりも高額な場合には、そちらの金額が基準になります。
原則として個人再生は自己破産をした場合よりも債権者への配当が大きくならないといけません。(これを「清算価値原則保障」といいます。)
例えば、高額な資産を保持したまま、最低弁済額のみの支払いになってしまうと債権者は大きな不利益を被ってしまします。
そのため、清算価値を計算して表の最低弁済額よりも高い場合には、その金額を3年~5年で返していくのです。
一方、給与所得者等再生では法令で決められている可処分所得についても考慮する必要があります。
計算方法は複雑なので、小規模個人再生と同額、もしくはそれ以上の金額になるとだけ覚えておけば問題ないでしょう。
自己破産とは異なり、所有する資産を処分する必要がない
自己破産をすると生活に必要な最低限のものを残して財産は処分されます。
お金に換えられるものは換価処分され、債権者に分配されるのです。
目安としては、20万円を超える価値のある財産については基本的に処分されると考えてください。
そのため、ローンがなくても、住宅などの不動産や自動車といったものを残すことは難しいでしょう。
一方、個人再生では財産が処分されません。
この点は自己破産と比べるとメリットになるでしょう。
ただし、所有している資産の価値が最低弁済額を上回るケースには注意が必要です。
前述の通り、最低弁済額以上の資産を保有している場合には、それに相当する金額を返済する必要があります。
つまり、財産をたくさん持っている人ほど、返済する金額も増える可能性が高いのです。
ローンのある住宅を残したまま債務整理を行える
個人再生には「住宅資金特別条項」という制度があります。
住宅ローン特則と呼ばれることも多く、ローンが残っていても住宅を手放すことなく債務整理できる個人再生の特別な制度です。
通常、個人再生では手続きの対象にする債権者を選択することはできません。
そのため、借入残高があるなら、住宅ローン、自動車ローン、カードローン、クレジットカードなどのすべてが個人再生の対象になります。
しかし、住宅ローン特則を利用した場合には、手続きの対象から住宅ローンを外すことができるのです。
これによって、住宅ローンが残っていても自宅を手放すことなく個人再生できます。
ただし、住宅ローン特則では、住宅ローンの借入残高は債務総額に算入されません。
個人再生後も住宅ローンについてはそのままの金額で返済を続ける必要があるので注意してください。
ギャンブルなどが原因の借金でも債務整理できる
自己破産には免責不許可事由というものがあります。
例えば、自己破産をするに至った理由がギャンブルや浪費の場合には、自己破産を申し立てても免責されない可能性があるのです。
一方、個人再生であれば借金の原因がたとえギャンブルでも手続きできます。
自己破産に関しては、ギャンブルが原因でも裁判官の裁量によって免責されることはありますが、確実な方法ではありません。
免責されないと借金の返済義務はそのままなので、ギャンブルのような免責不許可事由がある場合には個人再生も検討すべきでしょう。
資格・職業に関する制限がない
自己破産をしたからといって、特定の職業にずっと就けなくなるということは基本的にありません。
ただし、申し立て~免責許可までの間は、一部の資格や職業に制限があります。
例えば、弁護士、司法書士などの士業は資格が制限されてしまうのです。
免責許可が下りるまでの一時的な制限ではありますが、その間、仕事ができないとなると収入だけでなく、職場での評価にも影響するかもしれません。
個人再生にはこのような制限がないため、資格や職業を気にすることなく手続きできます。
個人再生のデメリット
個人再生にはメリットも多い一方で、デメリットもあります。
状況によって異なるものや、他の債務整理の方法と共通するものもありますが、次の点には注意してください。
【個人再生のデメリット】
- 個人再生を行うと信用情報がブラックになる
- 個人再生は官報への掲載あり
- 家族に内緒での手続きは難しい
- 再生計画案を裁判で認めてもらう必要がある
- 個人再生をすると保証人へ請求がいく
- 個人再生の手続きには時間がかかる
中でも注意したいのは、再生計画案を認可してもらう必要があるという点です。
以下で個人再生のデメリットについて説明していきます。
個人再生を行うと信用情報がブラックになる
個人再生を行うと信用情報に異動情報が登録されます。
異動情報は金融事故を意味し、信用情報に深刻なダメージを与え、この記録が残っている間はクレジットカードやローンの利用が難しいです。
任意整理も5年間は信用情報に登録されますが、個人再生に関しては10年間も影響が残るため注意してください。
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個人再生は官報への掲載あり
個人再生をすると官報という国の機関紙に氏名などが掲載されます。
一般の人が目にする機会はほぼ0ですが、それでも気になりますよね。
官報に載るのは、個人再生の開始が決定したときなど計3回です。
官報が原因で周りに債務整理をしたとバレる可能性はほぼないと思って大丈夫ですが、官報に掲載されることは覚えておいた方が良いでしょう。
家族に内緒での手続きは難しい
基本的に債務整理をしても家族の財産へ影響することはないです。
そのため、家族にバレずに債務整理の手続きすることも不可能ではありません。
しかし、個人再生の申し立てには様々な書類が必要ということもあり、家族の協力がないと難しいケースも多いのです。
例えば、共働きであれば、配偶者の収入証明書が必要ですし、配偶者が保証人になっているとバレずに手続きはできません。
職場にバレる可能性は低いですが、家族には知られてしまうと思った方が良いでしょう。
再生計画案を裁判で認めてもらう必要がある
個人再生は減額効果の非常に高い債務整理の方法ですが、再生計画案を認めてもらわないといけません。
そのため、自己破産をするよりもハードルが高いケースもあるのです。
とくに小規模個人再生に関しては、債権者による決議を経て再生計画案の認可が決まります。
反対する債権者が多いと個人再生が認められないのです。
十分な収入がなく最低弁済額を3年~5年間で返しきれない場合には再生計画案が認められない可能性が高いでしょう。
給与所得者等再生に関しても、小規模個人再生以上に安定した収入が求められるため、その点でのハードルは高くなります。
個人再生をすると保証人へ請求がいく
個人再生は任意整理よりも高額な借金を負っている場合に検討するケースが多いです。
そのため、保証人のいるような借金が債務に含まれるときは、保証人への影響にも注意しなければいけません。
任意整理のように手続きの対象を選択することはできないため、住宅ローン特則のような例外を除いてはすべての債務が対象になります。
個人再生に限った話ではないものの、保証人のいる借金があるなら慎重に検討すべきでしょう。
個人再生の手続きには時間がかかる
個人再生は任意整理や自己破産といった債務整理よりも手続きが煩雑で時間もかかりやすいです。
期待できる減額効果は高いものの、申し立ての準備から実際に個人再生が認められるまでにはそれなりの期間を要すると思った方が良いでしょう。
詳しくは「個人再生の流れと手続きに要する期間」の中で後述するので、そちらを参考にしてください。
個人再生にかかる費用はいくら?
繰り返しになりますが、個人再生の手続きは煩雑なので、法律事務所に依頼をして、弁護士などの専門家の力を借りることになるでしょう。
そのため、個人再生をするためには、裁判所に納める費用だけでなく、法律事務所へ支払う報酬も必要になります。
個人再生は基本的に自身の住所を担当する地方裁判所が管轄です。
その裁判所によって個人再生にかかる費用は前後しますが、裁判所へは10万円~20万円程度を納めることが多いです。
そのほとんどは個人再生委員への報酬なので、選任されない事案についてはより費用が少なくなります。
また、法律事務所へ支払う費用については20万円~50万円程度が目安になります。
住宅ローン特則を利用するかによっても費用は変わるため、正式な依頼をする前に総額の見積もりを計算してもらってください。
裁判所と法律事務所への費用をあわせて50万円くらいはかかるものと考えましょう。
個人再生は債務総額によって減額幅が決まっているため、費用対効果を考えて依頼するかどうか決めることが重要です。
個人再生の流れと手続きに要する期間
この記事の中で何度もいっていますが、個人再生の手続きは煩雑です。
ただ、弁護士に依頼をすると、そのほとんどを弁護士が進めてくれるため自分自身ですべきことは多くありません。
例えば、個人再生委員が選任されるケースでは委員との面談もありますが、弁護士が同席することも多く、借金をした理由や収入の状況などについての質問に答えていけば30分程度で終わります。
ただし、個人再生の手続きにはそれなりの期間がかかります。
申し立てから個人再生が認められるまでの目安は6ヶ月前後で、申し立ての準備をするのにも時間がかかるのです。
自分自身がすることは多くないものの、手続きに時間がかかることは覚えておきましょう。
個人再生は次のような流れで進んでいきます。
【個人再生の流れ】
- 弁護士への無料相談
- 受任通知の送付
- 個人再生の申し立て準備
- 裁判所への申し立て
- 個人再生委員との面接
- 個人再生の手続き開始
- 債権額の調査
- 再生計画案の作成
- 再生計画案の認可
- 再生計画案にもとづく返済の開始
個人再生は管轄の裁判所や、個人の状況によって流れが変わる場合もあるため、あくまでも一般的なケースだと思ってください。
①弁護士への無料相談
個人再生は自分ですることもできますが、基本的には弁護士などの専門家へ依頼することになります。
そのため、まずは法律事務所の無料相談を利用すると良いでしょう。
そこで、債務整理に関する相談をして、個人再生すべきかどうか、どの程度の費用がかかるのかなどを確認してください。
ときには債務整理をしないという選択や、別の債務整理を提案されることもあります。
借金問題に強い法律事務所の方が、様々なノウハウを持っていて、より柔軟に対応してくれるケースが多いでしょう。
相談をした法律事務所で個人再生を進めるのであれば、その後、正式な依頼をします。
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②受任通知の送付
弁護士が個人再生を引き受けると、債権者へ受任通知を発送します。
受任通知を受け取った金融機関は債務者に直接督促ができなくなるので、この段階で督促は止まるでしょう。
スピーディに対応してくれる法律事務所であれば、依頼をした当日の発送も可能です。
③個人再生の申し立て準備
その後、金融機関から取り寄せた取引履歴などをもとに引き直し計算を行い、正しい債務の総額を確定していきます。
取引履歴が開示されるまでには早くても1ヶ月、遅いと3ヶ月程度かかるため、申し立ての準備も同じくらいの期間がかかると思ってください。
もし引き直し計算によって払い過ぎた利息が見つかれば、過払い金として返還請求することも可能です。
この期間中に依頼者は、法律事務所の担当者の指示に従って申し立てに必要な書類集めを行います。
同一生計の家族がいる場合には協力してもらう必要があるので、多少時間がかかるかもしれませんが、それでも1ヶ月もあれば用意できるでしょう。
④裁判所への申し立て
必要な書類がそろったら、弁護士が申し立てを行います。
担当弁護士が手続きを進めてくれるため、依頼者自身が何かをする必要はないので安心してください。
⑤個人再生委員との面接
個人再生委員が選任されるケースでは、個人再生委員、債務者(依頼者)、弁護士の3者による面接があります。
弁護士の同席もありますし、借金をした理由など聞かれたことに答えるだけで大丈夫です。
それでも不安な人は、担当の弁護士にどのような質問が多いのか聞き、面接の打ち合わせしておくとスムーズでしょう。
⑥個人再生の手続き開始
個人再生委員との面接などの結果をもとに、個人再生の手続きを開始して良いかが判断されます。
ここまでは、申し立てからおよそ1ヶ月です。
⑦債権額の調査
個人再生の手続き開始が認められると、その通知が債権者へ届きます。
その後、債権者は債権額を裁判所に届け、裁判所はその金額を債権額として認めるかを判断していきます。
⑧再生計画案の提出
弁護士は再生計画案を作成し、それを裁判所へ提出します。
再生計画案には、今後、どのように借金を返していくかの計画がまとめられており、その計画を認めるかが次の工程で審議されるのです。
⑨再生計画案の認可
小規模個人再生に関しては、弁護士から提出された再生計画案を認めるかは、債権者によって決議されます。
この決議で一定数以上の反対者がいたり、反対者の債権総額が一定金額を超えたりすれば認められなかったということになるのです。
一方、給与所得者等再生では債権者による決議はないものの、意見を聞いた上で裁判所が認可を決定します。
⑩再生計画案にもとづく返済の開始
再生計画案が認められると、その内容にもとづいて返済を開始していきます。
原則3年、最長5年での返済になるので、完済するまでは気を抜かないようにしましょう。
個人再生後に返済が滞るとどうなる?
先ほどもふれましたが、再生計画案が認可されれば個人再生は終わりではありません。
減額後の債務をすべて支払って、ようやく個人再生は成功なのです。
個人再生をしている途中で返済が滞ってしまうと、また金融機関から督促を受けることになります。
返済の状況によっては再生計画が取り消される可能性もあるため、計画通りに返済が継続できるように努力しないといけません。
ただ、3年~5年間という長い期間で収入が減ってしまうこともあるでしょう。
その場合には、再生計画の変更(支払い期間の延長)、ハードシップ免責(返済の免除)といった対処法もあります。
どちらも厳しい条件がありますが、どうしても計画通りの支払いが難しいというときは、早めに弁護士へ相談をすると良いでしょう。
個人再生をするとどうなる?個人再生前後の生活に関するよくある質問
最後に、個人再生による生活への影響について、よくある質問をいくつか紹介していきます。
個人再生は任意整理や自己破産と比べると、少し複雑で分かりにくい制度です。
しっかりと情報収集をして、個人再生をするとどのような影響が生活にあるのかを把握しましょう。
個人再生をすると支払いができていたクレジットカードも利用できなくなる?
支払いに問題がなければ契約しているクレジットカードは個人再生の対象になりません。
そのため、手元に残しておくことも可能です。
ただし、個人再生の記録は信用情報に登録されてしまうため、クレジットカードの更新、途上与信(定期的に実施される信用情報チェック)のタイミングで利用停止になる可能性が高いでしょう。
個人再生するとクレジットカードはどうなる?我慢の期間と便利な対処法
個人再生後に失業してしまった場合、自己破産することはできる?
前述の通り、個人再生後に支払いが滞ってしまった場合には、支払い期間を延長したり、残りの返済を免除してもらったりすることもできます。
ただ、いずれも厳しい条件があるため、簡単には認められません。
もし返済を継続していくのがどうしても難しいなら、自己破産へ移行することも可能です。
自己破産をするのにも条件がありますし、個人再生よりもデメリットは大きくなります。
再生計画の変更なども選択肢として、弁護士と相談すべきでしょう。
個人再生をしても一定期間が経過すれば、またローンを組めるようになる?
信用情報に載る情報には登録期間が決まっていて、その期間が経過すると自動的に削除されます。
個人再生は最長10年なので、その期間が過ぎると信用情報で個人再生をしたとは分からなくなります。
ただし、個人再生の対象となった金融機関に関しては、社内情報として独自に記録を管理している可能性が高いです。
そのため、信用情報からは個人再生の記録が消えても、以前迷惑をかけた金融機関でまたローンを組むのは難しいでしょう。
取り引きのなかった金融機関でローンを組むことを検討してください。
個人再生は借金を1/5程度まで減額可能!住宅を残して債務整理できる点が大きなメリット
個人再生をすると借金がおよそ1/5まで減額され、その金額を3年~5年かけて支払えば、残りの債務に関しては返済が免除されます。
実際に減額される金額は、個人再生の種類、債務の総額によって変わりますが、任意整理と比べてかなり大きな減額効果を持っています。
また、持っている資産を手放す必要はなく、住宅ローンに関しては手続きの対象から外すことも可能です。
ただし、最低弁済額を支払うための返済能力は必要なので、安定した収入がないと手続きできません。
個人再生は収入があり、守る価値のある財産を持っている方に最適な債務整理になるでしょう。
個人再生は再生計画案を裁判所で認可してもらう必要があります。
住宅ローンを対象から外しても、支払いが継続できないなら再生計画案は認められない可能性が高いです。
まずは法律事務所の無料相談を活用して、自身の希望や収入、借金の状況などを伝えてアドバイスを貰うと良いでしょう。
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