「犯罪収益移転防止法」の改正で本人確認の方法が厳格化!クレジットカード発行への影響とは?
2020年4月に「犯罪による収益の移転防止法に関する法律」(犯罪収益移転防止法)の施行規則が改正されました。
「犯罪?収益移転?自分には関係なさそう」と思うかもしれませんが、実は、多くの人に影響がある改正なのです。
例えば、以前は運転免許証1枚あればクレジットカード発行時の本人確認を行えていましたが、現在はそれだけだとカードの発行ができません。
私もつい先日、クレジットカードを発行したのですが、本人確認書類の写しを送るときには、運転免許証+健康保険証を郵送しました。
コピーを取るのは1枚でも、2枚でも手間は一緒なのであまり気になりませんが、本人確認の方法がより厳格になったことは知っておきましょう。
今回は改正された犯罪収益移転防止法の中でも、特に私たちへの影響が強そうな本人確認に関する内容を取り上げます。
ほぼ現金を使用しないキャッシュレス生活を送るアラサー男子。クレジットカードのポイントを貯めることを第一に考えているため、買い物は値段よりも、還元率を重視するという本末転倒っぷり。
犯罪収益移転防止法ってどんな法律?
犯罪収益移転防止法はマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ行為などへの資金供与を防止するための法律です。
具体的には金融機関などが取引時に本人確認を実施すること、取引記録を保存しておくこと、疑わしい取引は届け出る義務があることなどが定められています。
この法律では以下のような業者が「特定事業者」として対象になります。
【犯罪収益移転防止法における特定事業者】
①金融機関など
・金融機関
・クレジットカード事業者
・ファイナンスリース事業者
・宅地建物取引事業者
・宝石・貴金属等取扱事業者
・郵便物受取サービス業者
・電話受付代行業者
・電話転送サービス事業者
②司法書士など
・司法書士
・行政書士
・公認会計士
・税理士
・弁護士
※ 取引内容によっては本人確認が必要ないケースもあります。
この法律の成立は2007年3月、全面施行は1年後の2008年3月ですが、これまでに何度かの改正が行われています。
例えば、特定事業者へ新たな事業者の追加、取引時の確認事項の追加(取引目的など)、顔写真のない本人確認書類の扱いの変更などです。
そして、2020年4月に施行規則が改正され、これまでよりも本人確認がさらに厳格化されました。
金融機関の指示に従って必要な書類を提出すれば何の問題もありませんが、以前よりも提出する書類の数が増えるケースも多いので一緒に確認していきましょう。
2020年4月の施行規則改正で本人確認の方法がより厳格に
犯罪収益移転防止法の改正で大きく変わった点は、クレジットカードなどを発行する際の本人確認です。
これまでは、本人確認書類(種類の指定なし)、もしくはその写しの送付+書留郵便などの転送不要郵便の受け取りで本人確認を行えました。
しかし、法改正によって1枚で良かった本人確認書類が2枚以上必要になったのです。
これはなりすましなどによる不正な取り引きを防ぐためで、この変更によって本人確認がより厳格化されたといって良いでしょう。
他にも本人確認の方法はいくつかあり、4月以降は以下のいずれかの方法によって本人確認が行われることになります。
(本人確認書類に記載の住居での転送不要郵便物の受け取りも必要です。)
【本人確認の実施方法】
①本人確認書類の原本の送付
②ICチップ付本人確認書類から読み取ったICチップ情報の送信
③本人確認書類の画像情報の送信
④本人確認書類の写し2種類の送付
⑤本人確認書類の写し+保管書類の原本または写しの送付
ただし、法律上認められていても、クレジットカード会社ごとに本人確認の方法は決まっています。
基本的には③、④、⑤の方法を採用していることが多いでしょう。
以下で本人確認のそれぞれの方法について簡単に説明していきます。
①本人確認書類の原本の送付
認められている本人確認の1つが書類の原本を送付する方法で、住民票の写しや印鑑登録証明書を利用することが多いでしょう。
住民票を利用する場合には、市役所などで所得した写しを使用してください。
取得した写しをさらにコピーして送付することは認められていません。
②ICチップ付本人確認書類から読み取ったICチップ情報の送信
本人確認もデジタル化が進んでおり、ICチップ付きのものであれば、そのICチップ情報を送信することによる本人確認も認められています。
【ICチップ付本人確認書類】
運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、在留カードなど
③本人確認書類の画像情報の送信
最近増えてきている、運転免許証などの画像を送信する本人確認の方法です。
この方法の場合、画像情報を送信するのにクレジットカード会社などの特定事業者が提供するソフトウェアを利用する必要があり、画像は本人確認書類の厚みが確認できるものでないといけないとされています。
また、施行規則では「一を限り発行又は発給されたもの」という表現がされており、この本人確認の方法では何度も発行できるような本人確認書類は利用できません。
④本人確認書類の写し2種類の送付
クレジットカードの発行で多く用いられる本人確認の方法です。
前述の通り、以前は運転免許証1枚でもクレジットカードを申し込めましたが、本人確認書類の写しを送付する場合には2種類必要になります。
加えて、本人確認書類の両方に現住所が記載されている必要があります。
⑤本人確認書類の写し+補完書類の原本または写しの送付
④の方法と同様に多い本人確認の方法で、現住所が記載されている本人確認書類が1枚しかない場合には、それに加えて補完書類の原本、もしくは写しを送付します。
補完書類について詳しくは次章で説明するのでそちらを確認してください。
ただし、本人確認書類にも現住所の記載がないケースでは、それに加えて補完書類が2種類必要になるので覚えておきましょう。
本人確認のために利用できる書類の一覧
特定事業者が法律にもとづき決められた方法で確認しなければいけない情報は、顧客の「氏名」、「住居」、「生年月日」の3点で、これらを本人特定事項といいます。
本人確認書類を送付(提示)する場合には、しっかりとこれら3点が確認できないといけないのです。
法人の場合は別の書類も必要になりますが、個人の場合には次のような書類を本人確認書類として利用できます。
【法律で認められている本人確認書類(顔写真付きのもの)】
・運転免許証
・運転経歴証明書
・マイナンバーカード
・パスポート
・在留カード
・特別永住者証明書・その他(官公庁発行書類などで本人特定事項を確認できる顔写真付きのもの)
もちろん、本人確認に利用できる書類は有効期限内のものです。
有効期限がギリギリだと送付した時点では期限内でも、クレジットカード会社などが確認する段階では期限を過ぎてしまっているかもしれません。
本人確認書類の有効期限が近い場合は、先に更新するなど注意した方が良いでしょう。
また、中には有効期限の記載がない書類もありますが、その場合には交付から6ヶ月以内のものに限られます。
顔写真なしの本人確認書類
本人確認書類として健康保険証を利用している人も多いと思いますが、法律の改正によって2016年10月から顔写真のない本人確認書類については、別の書類の提示も必須となっています。
そのため、クレジットカードの発行などの場合には、以前から1枚ではできませんでしたが、次のようなものも本人確認書類に含まれます。
【法律で認められている本人確認書類(顔写真なしのもの)】
・各種健康保険証
・国民年金手帳
・母子健康手帳
・戸籍謄本
・戸籍抄本
・住民票の写し
・住民票記載事項証明書
・その他(官公庁発行書類などで本人特定事項を確認できる顔写真のないもの)
など
現住所を確認するための補完書類
補完書類とは、本人確認書類に古い住所が記載されていたり、住所の記載がない本人確認書類を利用する場合に、本人特定事項である「住居」を確認するのに用いられる書類のことです。
例えば、次のようなものが補完書類になります。
【現住所を確認するための補完書類】
・国税や地方税の領収書
・納税証明書
・社会保険料の領収書
・公共料金の領収書
※ 発行、もしくは領収日から6ヶ月以内で、氏名と現住所を確認できるものに限ります。
すでに契約しているクレジットカードもまた本人確認が必要?
法律の改正によって「契約しているクレジットカード会社にまた本人確認書類を送るの?」と思うかもしれませんが、基本的にその必要はありません。
いくつかの条件はありますが、同一顧客であることが明らかな場合には、再度の本人確認書類の提示を行う必要はないので安心してください。
本人確認が必要だと判断されると、以前から取り引きのある顧客であることを確認するための書類の提示、または顧客本人しか知り得ない情報の提示が必要になります。
法律の改正で完全オンラインによる本人特定事項の確認方法も追加
ここまでは、犯罪収益移転防止法の施行規則の改正により厳格化された本人確認方法について説明してきました。
ただ、今回の改正には「オンラインで完結する自然人の本人特定事項の確認方法」というのも追加されています。
言葉だけを見ると難しく感じますが、「本人確認にネット完結できる方法が追加されたことで便利になった」、もしくは「今後、便利になっていく」ということです。
例えば、次のような方法が本人確認の方法に追加されました。
【オンラインによる本人特定事項の確認方法】
①オンラインで顔写真付きの本人確認書類、および本人の容貌の画像を送付する方法(ビデオ通話機能の利用も可)
②顔写真付きの本人確認書類のICチップ情報、および本人の容貌の画像を送付する方法
③本人確認書類の画像(もしくはICチップ情報)の送信+銀行やクレジットカード会社の顧客情報を照会する方法
④本人確認書類の画像(もしくはICチップ情報)の送信+本人確認の済んでいる銀行口座への振り込みと振込履歴を確認できる画像を送付する方法
①や②の「本人の容貌の画像」を利用する方法は徐々に増えつつあります。
クレジットカードやカードローンなどを公式スマホアプリから申し込む場合、運転免許証などの本人確認書類と自身の顔を一緒に撮影することがありますが、このような方法が①や②に該当すると考えてください。
画面の指示に従って自身の顔を動かすなどして、提出された本人確認書類に人物と同一であることの確認をしていきます。
③は先に運転免許証などの画像を送り、事業者が銀行やクレジットカード会社の顧客情報と照会することで本人確認をする方法です。
最後の④でも運転免許証などの画像を送信する点は一緒ですが、その後、事業者は顧客名義の口座に少額の振り込みをします。
そして、その振込履歴が分かるインターネットバンキングの取引明細画面の画像を事業者に対して送信することで本人確認をするのです。
【まとめ】犯罪収益移転防止法の改正で本人確認の方法が変わる!
どうしても郵送での手続きが必要だとサービスを利用するまでに時間がかかってしまいます。
ですが、最近は完全オンラインでの本人確認に対応している事業者も増えており、よりスムーズに契約手続きを進められるように変化しているのです。
また、犯罪収益移転防止法の施行規則が改正されたことで、本人確認書類を送付する場合には、運転免許証などの顔写真付きのものを持っていても、2種類の送付が必要になりました。
運転免許証と健康保険証などを一緒にコピーするだけなのでそこまで面倒ではありません。
ただ、顔写真付きの本人確認書類を持っていない人、本人確認書類に現住所が記載されていない人は用意する書類が増え、少し面倒だと思います。
わざわざ運転免許を取らなくてもマイナンバーカードなら誰でも発行できます。
頻繁に行う作業ではありませんが、免許を持っていない人はマイナンバーカードを持つと本人確認が少し楽になるでしょう。
また、引っ越しをして住所が変わったという方は、しっかりと変更の手続きをして本人確認書類に現住所が記載されているようにしてください。
事業者によって本人確認に利用できる書類に指定があったり、完全オンラインでの本人確認に対応していなかったりします。
そのため、具体的な提出書類や本人確認方法はクレジットカード会社などの事業者ごとに確認してください。
ほぼ現金を使用しないキャッシュレス生活を送るアラサー男子。クレジットカードのポイントを貯めることを第一に考えているため、買い物は値段よりも、還元率を重視するという本末転倒っぷり。
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