コロナ禍の中で注目される「ワーケーション」|日本で浸透するための5つの課題
新型コロナウイルスによる影響を受けなかった業界はないといって良いほど、経済への影響は深刻です。
中でも訪日外国人観光客(インバウンド)の需要がほぼなくなったことで、各地の観光産業は甚大なダメージを受けていると思います。
経済を回さないといけないといわれても、なかなかこのような状態で旅行しようという気持ちにはなりませんよね。
私も10万円の定額給付金は受け取りましたが、ほぼ貯金に回してしまい、経済的な不安がある中で「買い物しよう」、「旅行をしよう」という気持ちにはならないというのが正直なところです。
また、観光産業といえばGo To トラベルが開始されたばかりですが、直前になって東京を除外したことなども全国的な影響があったでしょう。
この混乱を挽回するためというわけではありませんが、政府は「ワーケーション」という旅行スタイルを普及させることで国内観光を促進する方針を打ち出しました。
ただ、個人的にはワーケーションが日本ですぐに浸透するのは難しいかなと思っています。
そこで今回は、ワーケーションとはどのようなもので、日本で浸透するための課題は何なのかについて説明していきます。
ほぼ現金を使用しないキャッシュレス生活を送るアラサー男子。クレジットカードのポイントを貯めることを第一に考えているため、買い物は値段よりも、還元率を重視するという本末転倒っぷり。
ワーケーションは「ワーク」+「バケーション」の造語
【ワーケーションとは】
仕事(ワーク)と休暇(バケーション)から成る造語。
「リゾート地で休暇を取りながら仕事すること」を指します。
コロナ禍の中で長期休暇にこれまでのような旅行を楽しむのが難しいことから、注目されつつある旅行スタイルの1つです。
オフィスを離れて仕事をするという意味では、テレワークの1つともいえるでしょう。
日本でワーケーションが注目され始めたのは最近ですが、もともとはアメリカで広がったもののようです。
日本では小泉進次郎環境相や菅義偉官房長官がワーケーションについて言及していて、これによってワーケーションを知った方も多いのではないのでしょうか?
日本政府はワーケーションの普及を促進しようとしていますが、いったいどのようなメリットがあるのでしょうか?
ワーケーションのメリット|政府が推奨する理由とは?
個人的にはワーケーションがすぐに日本で浸透するのは難しいかなと思うのですが、日本政府は普及に力を入れていくようです。
なぜワーケーションを促進しようとしているのでしょうか?
政府がワーケーションを推進する理由と、ワーケーションの企業・労働者にとってのメリットについて確認していきましょう。
政府がワーケーションを推進する理由
政府がワーケーションを推進しようとする主な理由は、新たなニーズの掘り起こしです。
日本は世界から見ても魅力的な国で、外国からの旅行者もかなりの数でした。
特に2020年は東京でオリンピックが開催される予定だったということもあり、東京だけでなく、全国の観光地がインバウンドによる経済効果を期待していたと思います。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け東京オリンピックは1年延期されることとなり、もともと外国人観光客の多かった観光地も今はほとんど外国からの旅行者がいないのが現状です。
おそらく、この状況がすぐに改善されることはないため、日本政府や経済団体は、海外からではなく国内の旅行ニーズを掘り起こそうとしています。
その1つがワーケーションで、実際に環境省では7月22日から26日までの間、新宿御苑でワーケーションを体験できるイベントを開催するなど積極的に推進活動をしています。
また、これまでインバウンドをターゲットに営業していた宿泊施設の中には、ワーケーションに対応するためにネット環境や客室内の設備などを整備したところもあるようです。
インバウンドが戻るまで、もしくは戻ってからもワーケーションは観光産業にとって1つの重要なニーズになるでしょう。
企業にとってのワーケーションのメリット
私のようなパソコンとインターネット環境があれば仕事ができる個人事業主であれば、ワーケーションを実践しやすいと思います。
ただ、企業にとってもワーケーションを導入、推奨するメリットはあります。
例えば、法律が改正されたことで2019年の4月から年5日間の有給休暇の取得が義務化されました。
年10日以上の有給休暇がある労働者が対象ですが、企業は社員が有給休暇を取得しやすい環境を整備し、最低でも年5日は取得するように労務管理をしなくてはいけません。
しかしながら、「自分が休むことで仕事が回らない」「自分だけ休みを取りにくい」といった職場環境も有給休暇の取得を阻んでおり、なかなか有給を取れないという人もいるでしょう。
ワーケーションが導入されれば旅行先でも仕事ができるため、より自由な働き方、休み方を選択できるようになり、有給休暇取得のハードルは下がります。
もちろん、勤務時間をどうするのかなど課題、社内環境の整備も必要になるでしょうが、ワーケーションという選択肢を作ることで有給休暇の取得率を上げやすくなるのです。
労働者にとってのワーケーションのメリット
有給休暇を取りやすくなるのは労働者にとってもメリットです。
これまでは出勤するか、休みを取るかの二択だったと思います。
ワーケーションは出勤せずに仕事をするという新しい選択肢になり得るでしょう。
仕事をするのが自宅に限らない点では、単なるテレワークよりも自由度の高い働き方になります。
例えば、家族旅行のために1週間の休みを取ったとしても、急に仕事が入ってしまうとこれまでは「旅行をキャンセルする」、「早めに切り上げる」などしかできませんでした。
しかし、ワーケーションが導入されていれば、旅先から「リモート会議に参加する」「午前中と夜だけパソコンで仕事をする」といった風により柔軟に対応できるようになります。
いつもと違った環境で仕事をすることでリフレッシュできるだけでなく、ワーケーションは働き方そのものを大きく変えることのできる制度なのです。
また、より好きなタイミングで休みを取りやすくなれば、観光地の混雑する時期を避けることもできます。
ピークを回避することで、旅行にかかる費用を抑えることもできるでしょう。
観光地も閑散期の集客を期待できるため、様々な立場から考えてもワーケーションのメリットは大きいのです。
デメリットもある?日本でワーケーションが浸透しづらい理由
ワーケーションという選択肢が生まれるのはとても良いことだと思います。
ですが、このような新しい働き方、休み方は政府が「どんどんワーケーションを導入しましょう。」といっても、すぐに広がらないのは明白ですよね。
ちょっと似ていると思ったのが「プレミアムフライデー」なのですが、日本で提唱されてから数年が経過した現在も浸透したとはいえないのが現状ではないでしょうか?
ワーケーションが日本で浸透するためには、いくつもの課題があります。
それらの課題をどう解決するかは、ワーケーションが広く浸透するためのポイントになるでしょう。
ワーケーションが抱える課題を、「仕事」「宿泊施設」「家族」「収入」「コロナ」の5つの観点から考えていきたいと思います。
「仕事」面での課題
ワーケーションをするためには、リモートワークが前提になります。
新型コロナウイルスがリモートワークを強く推し進めたことは確かですが、導入率は企業、地域によっても大きく変わるでしょう。
まだまだリモートワークの導入ができていない企業も多い中で、よりハードルの高いワーケーションは成功するのでしょうか?
旅行先で仕事をする場合、インターネットを利用するでしょうが、セキュリティ面などの問題も出てきます。
このようなことを考えると、制度を導入できる企業がどのくらいあるのか、実際にワーケーションを行える人がどれほどいるのか疑問に感じます。
また、プライベートと仕事の線引きが難しいという意見もあると思います。
会社側にとっても労働時間の認定方法などワーケーションを導入するための準備は必要です。
実際にワーケーションを導入した後で問題が発覚することもあるので、導入したら終わりではなく、導入後も制度を改善していかなければいけません。
国や自治体が助成金を出す、ガイドラインを作成するなど、これから導入しようと考えている企業の負担をできるだけ減らすことが求められます。
「宿泊施設」の課題
観光地がワーケーション需要を取り込むためには、ワーケーションに適した宿泊施設が必要です。
例えば、Wi-Fiを利用できるかはとても重要になるでしょうし、室内に外部ディスプレイ、パソコンを使える十分なスペースも必要になります。
これまで外国人旅行客をターゲットにしていた場合、宿泊施設の設備をワーケーションに対応させるための投資もしなくてはいけません。
ウィズコロナの中で、ワーケーションでの利用をアピールするホテル、旅館も増えていますが、宿泊施設側の設備投資も必要なのです。
「家族」面での課題
ワーケーションを子どものいるお父さん、お母さんが取得する場合、独身にはない課題が見えてきます。
共働きであれば、夫婦そろって休暇、もしくはワーケーションを取る必要がありますし、今年は夏休みが短い学校も多いため子どもの世話でワーケーションどころではないという方もいると思います。
また、ワーケーションを利用することで家族旅行へいけても、「旅先で家族と過ごす時間が短いならわざわざ出かけなくても…」という考えもあるでしょう。
例えば、両親のうち片方が午前だけ、午後だけのように特定の時間帯のみ拘束されるならまだ良いかもしれません。
ただ、家族との時間を優先すると仕事が進まず、仕事を優先すると家族との時間が取れないというのはワーケーションでもいえることなのです。
ここでは家族旅行を前提にしましたが、旅行を家族にとって有意義なものにするためにはプランを十分に考える必要はあるでしょう。
「収入」面での課題
基本的にワーケーションにかかる旅費は労働者の負担です。
旅行先でも仕事ができるだけで、交通費や宿泊費などが経費になる出張とは大きく違います。
そのため、ワーケーションへ行くにしても、ある程度の収入面での余裕が必要になるでしょう。
もしかしたら、企業によってはワーケーションの制度を利用することでいくらかの支援があるかもしれませんが、旅行費用を自費で負担してまでワーケーションを利用するかは疑問です。
「ワーケーションを利用して、これまでできなかった家族サービスを」ということなら理解できますが、それなりに余裕のある家庭でないと難しいかもしれません。
「コロナ」の課題
観光業をできるだけ早く回復させるためには、ワーケーションを導入する企業をどんどん増やしていく必要があります。
しかし、企業内でワーケーションを導入するための課題をクリアしても、働いている人が「旅行へ出かけたい!」と思うような状況でないと意味がありません。
コロナの感染者数が落ち着きを見せたことで緊急事態宣言は解除されたものの、7月に入り、東京都だけでなく全国的に感染者数がまた増加傾向にあります。
東京除外という形でGo To トラベルキャンペーンは始まっていますが、ニュースを見ていると「感染者数の多い地域からは旅行に来てほしくない」という観光地の方の声もありました。
観光地側が旅行者を歓迎できない現状で、どこまでワーケーションを取ろうと思う人がいるのでしょうか?
また、ワーケーションが感染拡大の原因になることはなんとしても避けないといけません。
旅行する以上、感染拡大のリスクを完全に回避することはできないものの、一度ワーケーションにネガティブなイメージがついてしまうと促進は難しくなるでしょう。
ワーケーションだけでなく旅行全般にいえることなのですが、旅行者、観光地側の両者が感染防止に努める必要があります。
【まとめ】ワーケーションはメリットも多いが、普及には課題が山積み
ワーケーションの意味と日本で普及するための課題についてお話ししてきました。
日本だけでなく世界的に見てもまだまだ新型コロナの影響は強く、海外からの旅行者を積極的に呼び込むのは難しいでしょう。
そこで国内の旅行需要に注目が集まるわけです。
コロナ禍の中ではインバウンドがすぐに戻ることは考えにくいため、ワーケーションによって新たな需要を掘り起こすことは観光産業にとってとても大きな意味があります。
ですが、ワーケーションの浸透にはいくつもの課題があります。
社内制度の整備が必要なので企業にワーケーションを積極的に取り入れてもらうためは政府の推進活動も重要になるでしょうし、何よりも現在のようにコロナの感染者数が減る気配のない中では、旅行しようという気持ち自体がなかなか起きませんよね。
そのような状況を打開するためのGo To トラベルなどの経済支援策なのですが、それが裏目に出て感染者数を増やしてしまっては逆効果です。
ワーケーションによってより多様な働き方、休み方ができるのはとても良いことですが、そう簡単にはいかないでしょう。
また、どうしても経済的な負担があるため、どこまでの人がワーケーションという選択をするのかという問題もあります。
国内の旅行需要を掘り起こすことは重要ですが、ただ「ワーケーションを導入しましょう。」と国が方針を打ち出すだけでは上手くいきません。
ワーケーションを推進するための施策をコロナ対策と並行して行う必要があると思います。
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